運転時にシートベルトを着用するのは当前のことです。これは誰もが理解している事だと思います。
しかし、滋賀県警が発表した平成27年10月末の調査によると自動車乗車中の死亡事故25人のうちシートベルトを着用していたのは14人、非着用が9人でした。なんと、非着用9人のうち装着していれば8人は生存可能だったというのです。
平成20年6月の改正道路交通法により同乗者にもシートベルト着用が義務付けられました。そのため、着用義務に関しては広く知られることになりましたが、非着用で運転、同乗するリスクについてはまだまだ一般には認識不足だと思います。
そこで今回はシートベルト非着用での運転リスクについてまとめました。
シートベルトの義務化と罰則
道路交通法第71条の3を見ると、そこには“シートベルト装着の義務”が記されています。
要約すると「自動車の運転者は座席ベルト(シートベルト)をせずに運転してはならない。自動車の運転者は、座席ベルトをしないものを乗車させて運転してはならない」というものです。
シートベルトをせずに運転中に検挙された場合には違反点数1点が付されます。(反則金が無い白切符)また、後部座席の場合、高速道、自動車専用道路を走行時に非着用の場合には同じく1点が行政処分として付されます。
シートベルト着用状況
警察庁の平成27年11月20日のデータによると、運転者、助手席のシートベルト着用率は95%を超えているものの、後部座席同乗者の着用は一般道で約35%、高速道路で約71%ととなっています。
【一般道路のシートベルト着用率】
- 運転者:98.4%
- 助手席:94.6%
- 後部座席:35.1%
【高速道路のシートベルト着用率】
- 運転者:99.4%
- 助手席:98%
- 後部座席:71.3%
後部座席でのシートベルト着用義務は、未だ浸透しているとは言えないデータ結果となっています。
シートベルト着用の意味
シートベルト着用の意味は、運転者、同乗者の安全を守るためなのは言うまでもありません。しかし、それだけではないのです。
【シートベルト非着用で衝突事故に遭ったら】
- 運転者本人がハンドルへ激突、フロントガラスへ激突
- 運転者、同乗者が車外へ放出
- 後部座席乗車人が運転者、助手席乗車人に激突
このように、後部座席の人がシートベルト非着用により運転者に衝突したり、車外放出により対向車、後続車の事故の連鎖に繋がる可能性があります。周りに迷惑をかけないということもシートベルト着用の意味があるのです。
ちなみにシートベルト非着用での事故による車外放出は着用している場合の約14倍と言われています。
シートベルト非着用で起こる衝突の実際
シートベルト非着用による衝突事故は死亡事故に直結する確率が高くなります。それはスピード出し過ぎ時の衝突や衝突した相手の車の大きさ・重量などに比例します。
【シートベルト非着用で衝突すると…】
- 全身強打:フロントガラス、座席シート、ドアに全身が激しく衝突します。
- 車外放出:衝突が強ければフロントガラスを突き破り車外に放出されます。放出されると全身を道路に強打し、後続車や対向車に轢かれる可能性が出ます。
- 前席の人に激突:後部座席の人が前席の人に激しくぶつかる可能性があります。
シートベルト非着用で過失相殺となる
シートベルト非着用時に事故被害を受けた場合に、相手が悪くても過失相殺されるのはご存知でしょうか?
これは、要するに事故により被害者が大怪我したとしてもシートベルトをしていなかったことで被害者にも過失があったということになり損害賠償金が少くなるのです。これは、全国の裁判所で同様の判例が数多く出ています。
シートベルト非着用での運転事故はこのようなデメリットも生じてしまうのです。
シートベルトの正しい着用方法
ここまで読んで頂きシートベルトを着用しないリスクはご理解頂けたと思います。
しかし、せっかくシートベルトを着用していたにも関わらず、誤った着用をしていたために、衝突と同時にシートベルトが外れてしまったり、体に食い込むなど、大事故に結びつく可能性があります。正しく装着して被害を最小限にしましょう。
【シートベルトの正しい着用方法】
- 腰をシートに密着した状態で装着する
- 肩ベルトはたるまないようにする
- 腹ベルトもるまないようにする
- 肩ベルトは首に掛からないように肩からかける
- シートベルトがねじれがないようにする
- バックルの金具を確実に装着する
まとめ
滋賀県警が発表したシートベルト非着用での死亡率の高さには驚くばかりです。シートベルトの着用は運転者だけでなく同乗者も必須だという事が分かります。ドライバーは自分がシートベルトを着用するだけでなく同乗者にも必ず着用を促して欲しいものです。
シートベルト非着用の事故だけでなく衝突事故は、大怪我、後遺症などに悩まされるケースも出てきます。そのような時は、例えば滋賀県在住の事故被害者なら滋賀県の交通事故に強い弁護士に相談することで、後遺障害認定や休業損害などのサポートをしてくれます。
警察は民事事件には不介入ですので、弁護士に相談することがより良い解決が得られると言うことを覚えておきましょう。