交通事故で骨折した時の慰謝料はいくら?増額するための対処方法を併せて解説

交通事故の骨折と後遺障害の慰謝料相場を解説

この記事でわかること

  • 交通事故でよくある骨折の種類がわかる
  • 骨折の治療期間がわかる
  • 交通事故の骨折でもらえる慰謝料がわかる
  • 慰謝料を増額するための方法がわかる

「交通事故の被害に遭い骨折してしまった…。」そんな場合は長い入院・通院が必要になるケースがほとんどです。そのため、骨折は慰謝料(入院慰謝料、通院慰謝料、後遺症慰謝料など)がかなりの高額になる可能性が非常に高い後遺障害です。

事故による骨折は激しい痛みや不便な日常生活を余儀なくされます。可動域制限など深刻な後遺障害が残るケースもあります。被害者の方は治療や後遺障害等級や慰謝料などについてしっかり理解する必要があります。

そこでこの記事では、交通事故の骨折の種類と慰謝料はいくらもらえるのか?また、慰謝料相場と増額するためのポイントについてわかりやすく解説していきます。

交通事故の骨折は痛みだけでなく不便な日常生活を強いられます。深刻な後遺症が残ることも少なくありません。適切な慰謝料を請求するための対処法をチェックしていきましょう!

交通事故で骨折する主なパターンと原因

交通事故の種類やパターンによって骨折する部位は違ってきます。例えば、車同士の正面衝突事故の場合、運転者はハンドル部分で胸を強打して肋骨や鎖骨、胸骨を骨折するケースがとても多いです。事故の際にハンドルで前胸部や上腹部を強打し骨折してしまうことを「ハンドル損傷」と言います。

また、事故被害で最も多いのが追突事故です。後ろから追突された衝撃で背骨(脊椎)を骨折するケースもよくあります。他にも、横断歩道を歩行中又は自転車で走行中に右左折してきた車にはねられて、手首や肘、鎖骨を骨折することもありますが、交通事故では、肋骨・手首・鎖骨・胸骨・背骨・腕など、骨折する部位や種類は様々です。

交通事故でよくある骨折の種類

交通事故の骨折の原因は、骨の許容範囲を超える強い衝撃が加わったことで骨折する「外傷性骨折」ですが、骨折は何度も手術が必要になるケースも珍しくありません。

骨折の程度には、骨が完全に2つに分かれる「完全骨折」と骨が部位的につながっている「不完全骨折」の2種類があります。骨折の種類については次のようなものがあります。

交通事故の骨折の種類と治療で大切なことをまとめました。骨折に気づかないケースや感染症などのリスクもあります。まずは整形外科でしっかりと治療することが重要です。

開放骨折(複雑骨折)

折れた骨が皮膚の外に飛び出すものを開放骨折と呼びます。開放骨折では、皮膚の外に骨折端が露出するため感染症のリスクがあります。

開放骨折は治療が複雑になることから複雑骨折とも呼ばれていますが、骨が複雑に折れる複合骨折との差別化を図るために複雑骨折とは呼ばずに、正式名称は開放骨折と言います。

開放骨折の場合は、骨折の治療と共に感染症予防も行われることになります。

皮下骨折(閉鎖骨折)

折れた骨が体内にとどまっているものを皮下骨折と呼びます。皮下骨折は開放骨折と対比させて単純骨折や閉鎖骨折とも呼ばれています。皮下骨折の場合は、感染症リスクはありませんので、メインは骨折の治療となります。

脊椎圧迫骨折

脊椎圧迫骨折は、脊椎(背骨)の一部が押しつぶされるように変形する骨折です。脊椎は24個の小さな骨で構成されており、身体をバランスよく支えています。脊椎圧迫骨折は骨粗鬆症に多い骨折ですが、事故で強い衝撃があると、たとえ健康な脊柱でも脊椎圧迫骨折になるケースがあります。

剥離骨折

剥離骨折は事故の衝撃で、骨の表面に亀裂が入り、その部分が筋肉に引っ張られることで骨が剥がれてしまう骨折です。剥離骨折は事故時の外傷の痛みの方が強いので、その場では気付かないこともあります。

粉砕骨折

強い衝撃で骨が砕け、骨折線が多数に入り込んで、多くの骨片に分かれたものを粉砕骨折と呼びます。粉砕骨折は、筋肉神経や骨膜の神経の断裂を伴う骨折ですので、非常に強い痛みを伴い、骨折の中でも特に重症と言われています。

粉砕骨折は、治療や回復に向けたリハビリなどの入院治療を必要とする期間も長く、後遺症が残るリスクが特に高いです。

骨折の治療期間の目安

骨折の治療期間の目安としてよく用いられる『Gurltとcoldwellの表』というものがあります。骨折の治療期間は部位や程度によって大きく異なるため、あくまで目安として参考にしてみてください。
骨折 治療期間
参考: 北星病院

交通事故で骨折した場合に請求できる慰謝料の種類

交通事故の被害者が請求できる慰謝料には、いくつかの種類があります。骨折した場合に請求できる可能性があるのは、次の2種類の慰謝料です。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料

それぞれ、どのような慰謝料であるのかをみていきましょう。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

入通院慰謝料とは、交通事故でケガをした被害者が請求できる慰謝料のことです。

そもそも慰謝料とは、他人の不法行為によって損害を受けた人がこうむった精神的苦痛に対して支払われる損害賠償金のことです。

交通事故でケガをすると痛い思いをしますし、病院へ入通院して治療を受けることによっても辛い思いをします。このような精神的苦痛に対して支払われるのが入通院慰謝料です。

慰謝料額は被害者の精神的苦痛の度合いに応じて算定されるべきですが、人の内心の問題を数値化するのは困難です。一応の指標として、ケガの治療期間が長ければ長いほど、被害者の精神的苦痛も大きいものと考えられます。

そのため、入通院慰謝料は被害者が事故でケガをしたときから、治療を受けて治癒または症状固定を迎えるまでの入通院期間の長短に応じて算定されます。

なお、入通院慰謝料の算定基準には次の3種類があります。

  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士基準

どの基準も入通院期間に応じて慰謝料額を算出する点は同じですが、慰謝料額はそれぞれ異なってきます。自賠責基準による慰謝料額が最も低額となり、弁護士基準による慰謝料額が最も高額となります。

入通院期間が長引けば長引くほど慰謝料額の開きも大きくなるので、被害者としては弁護士基準で入通院慰謝料を請求したいところです。

後遺障害慰謝料(後遺症慰謝料)

後遺障害慰謝料とは、交通事故によるケガが完治せずに後遺障害が残った場合に支払われる慰謝料のことです。

後遺障害が残ると仕事や日常生活に一定の制限を受けてしまうため、その精神的苦痛に対して支払われるのが後遺障害慰謝料です。

入通院慰謝料と後遺障害慰謝料の関係は、以下のとおりです。

慰謝料の種類 慰謝料の内容
入通院慰謝料 事故でケガをしてから症状固定までの精神的苦痛に対して支払われる
後遺障害慰謝料 症状固定後の精神的苦痛に対して支払われる

もっとも、後遺症が残ったすべてのケースで後遺障害慰謝料が支払われるわけではありません。後遺障害慰謝料を請求できるのは、損害保険料率算出機構というところで後遺障害等級の認定を受けたケースに限られます。

後遺障害等級には1級から14級までのランクがあり、1級が最も重い後遺障害とされています。

慰謝料額は等級ごとに定められています。後遺障害の程度が重いほど被害者の精神的苦痛も重いと考えられるので、慰謝料額は1級が最も高額で、14級が最も低額とされています。

なお、後遺障害慰謝料の額も入通院慰謝料の場合と同様に3つの算定基準があり、自賠責基準による場合が最も低額、弁護士基準による場合が最も高額となります。

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入通院時の慰謝料相場

骨折の入通院慰謝料の慰謝料相場は、自賠責基準の場合、実入通院日数×日額4,200円で計算します。2020/04/01に基準が改定されたため、それ以降の事故は日額4,300円で計算します。
任意保険基準と弁護士基準の場合は、実入通院日数に関わらず通院期間・入院期間によって相場が決まっています。

通院期間 任意保険基準 弁護士基準
3ヶ月 38万円 73万円
4ヶ月 48万円 90万円
5ヶ月 56万円 105万円
6ヶ月 64万円 116万円
7ヶ月 70万円 124万円
8ヶ月 77万円 132万円
9ヶ月 82万円 139万円
10ヶ月 87万円 145万円
11ヶ月 90万円 150万円
12ヶ月 93万円 154万円
入院期間 任意保険基準 弁護士基準
3ヶ月 75万円 145万円
4ヶ月 95万円 184万円
5ヶ月 113万円 217万円
6ヶ月 128万円 244万円
7ヶ月 141万円 266万円
8ヶ月 152万円 284万円
9ヶ月 162万円 297万円
10ヶ月 170万円 306万円
11ヶ月 177万円 314万円
12ヶ月 180万円 321万円

骨折による後遺障害の種類と慰謝料の相場

症状固定(治療の終了)後も後遺症が残る場合に、後遺障害等級の認定を受けたものは慰謝料とは別に等級に応じた後遺障害慰謝料が支払われることになります。

骨折では、骨の変形や痛み、痺れ以外にも、様々な後遺症が残ることがあります。骨折で該当する後遺障害には、大きく分けて「欠損障害」「機能障害」「変形障害」「短縮障害」「神経障害」の5つがあり、後遺症の程度や種類によって様々な等級が定められています。

後遺障害 症状
欠損障害 身体の部位の一部又は全てを失ったもの
機能障害 身体の部位の一部又は全ての用を廃し著しい運動機能を残すもの又は遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
変形障害 身体の部位に著しい変形を残すもの又は中程度の変形を残すもの又は変形を残すもの
短縮障害 治療終了時の下肢の長さが事故前より短くなっているもの
神経障害 局部に頑固な神経症状を残すもの又は神経症状を残すもの
後遺障害種類 等級 任意保険基準 弁護士基準
欠損障害 第1級 1,300万円 2,800万円
第2級 1,200万円 2,370万円
第4級 800万円 1,670万円
第5級 700万円 1,400万円
第7級 500万円 1,000万円
機能障害 第1級 1,300万円 2,800万円
第5級 700万円 1,400万円
第6級 600万円 1,180万円
第8級 400万円 830万円
第10級 200万円 550万円
第12級 100万円 290万円
変形障害 第7級 500万円 1,000万円
第8級 400万円 830万円
第12級 100万円 290万円
短縮障害 第8級 400万円 830万円
第10級 200万円 550万円
第13級 60万円 180万円
神経障害 第12級 100万円 290万円
第14級 40万円 110万円

後遺障害等級の申請方法

後遺障害等級の申請方法は適切な等級を認定してもらう上で重要になります。骨折のような事故場合、等級が一つ変わるだけで慰謝料も大きく変わりますので、正しい申請方法について理解しておきましょう。

申請するタイミング

後遺障害等級認定の申請は、症状固定後に行います。

後遺障害等級の認定には、診断書が重要になります。そのため、診断書に自覚症状や他覚症状をできるかぎり詳しく書くために、全ての治療が終了してから手続きをしましょう。

保険会社側が治療を早めに止めさせて症状固定を急がせてくる場合もありますが、症状固定をするタイミングは医師と相談して慎重に決めましょう。

申請方法

後遺障害等級認定の申請方法は2つあります。
1. 被害者請求
2. 事前認定
被害者請求は、被害者側が後遺障害等級認定に必要な書類を全て揃えて、自ら相手方の自賠責保険に請求する方法です。事前認定は、加害者側の保険会社に後遺障害等級の申請を一任する方法です。

それぞれのメリットとデメリットは以下の表の通りです。

メリット デメリット
被害者請求 被害者側で書類を揃えれるので、万全の状態で申請することができ、後遺障害等級の認定が受けやすい。 自分で書類を揃えたり、手続きしなければならないので、手間がかかる。
事前認定 必要書類を集めたり、手続きを加害者側の保険会社に一任できるので、手間がかからない。 加害者側の保険会社が書類を集めるので、万全の状態で申請をしてくれず、後遺障害等級の認定に納得できない場合が多い。

申請方法は、適切な慰謝料を受け取るために被害者請求をおすすめします。

必要書類

後遺障害等級認定の申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 申請書
  • 交通事故証明書
  • 事故発生状況報告書
  • 診療明細書
  • 後遺障害診断書
  • 画像所見(レントゲン、MRIの検査データなど)

被害者請求の場合は、上記を全て集める必要があります。事前認定の場合は「後遺障害診断書」のみで良いです。

結果の通知

後遺障害等級認定の申請を行ってから1~2ヶ月で審査結果が通知されます。もし、認定結果に不満がある場合は「異議申し立て」という制度を使って再申請することができます。

より詳しく後遺障害等級認定の申請方法について知りたい方は後遺障害等級認定を受けるまでの手順と申請方法を参照ください。

慰謝料を増額するための対処方法

適切に治療や検査をせずに、保険会社に言われるがままに治療を打ち切ると適切に後遺障害等級が認定されないことがあります。結果、慰謝料は最低限しかもらえないことになります。

慰謝料を増額するためには以下の対処方法を忘れないようにしましょう。

骨折で慰謝料を増額するためには「治療の回数」「継続」が重要になります。仕事が忙しくでも主治医に症状固定を告げられるまではしっかり通院して治療に努めましょう!

交通事故後すぐに病院で受診する

交通事故で怪我をしてしまったら、当日か翌日には病院で受診するようにしましょう。

その理由は、事故から間隔があいてから病院に行くと、怪我と交通事故の因果関係が疑われてしまう原因になってしまうからです。

骨折が疑われる際に行くべき病院は基本的には整形外科です。もし、頭を強く打っている場合は脳外科・脳神経外科に行きましょう。

適切な頻度で医師が良いというまで通院を続ける

慰謝料額を増やすには、適切な頻度での通院と治療期間が大事になります。

あまり痛くないからといって途中で通院を止めたり、忙しいなどの理由で通院頻度が少なくなってしまうと、本来もらえていたはずの慰謝料よりも減額される可能性が高いです。

必ず医師が完治または症状固定と判断するまで治療を適切な頻度で続けるようにしましょう。

保険会社の治療費打ち切りを防ぐ

骨折の治療を開始して3~6ヶ月ほどたった時に、加害者側の保険会社から治療費の支払いの打ち切りを打診してくることがあります。

このような場合に、自分で「もうほとんど痛みもないから治療をやめようかな」と判断してしまうと、後から痛みが再発した場合に治療費を請求できない可能性が高いです。

そのため保険会社に治療費の打ち切りを打診されたときは、まず主治医に治療を継続する必要があるか確認しましょう。

まだ治療の必要があるといわれた場合は、主治医に診断書を書いてもらい保険会社に提出し、治療の継続の必要性を主張しましょう。

弁護士に骨折の慰謝料請求を依頼すれば増額できる可能性が高くなる

弁護士に骨折の慰謝料請求の交渉を依頼した場合は、保険会社との窓口は弁護士になります。保険会社との様々な交渉はもちろん、示談交渉では正当な基準の弁護士基準で請求し、事故に遭わなければ失わなかったはずの利益「逸失利益」も請求してもらえます。

結果的に任意保険会社が提示する慰謝料から3~3.5倍以上、増額できることも多いです。

後遺障害等級においては、他覚的所見が重視されていますので、医師との連携を重視する弁護士事務所も多く存在します。

それぞれの等級で、どのような立証ポイントが重要なのかを熟知しており、後遺障害診断書の記入方法や診断書作成時のポイントなど、慰謝料請求で非常に重要な部分である医師への働きかけも行ってもらえます。

気になる、弁護士への依頼費用ですが、ご自身の加入する保険や家族の加入する保険に「弁護士特約」を付けている場合は、一般的に弁護士費用ならびに鑑定費用(弁護士に依頼した場合に限る)300万円までは特約でカバーできますので、実質的に費用ゼロで弁護士に依頼することができます。

まとめ

交通事故で骨折した場合のほとんどは、慰謝料がかなりの高額になります。腕や脚などの単純骨折の場合でも、弁護士に依頼することで慰謝料が1,000万円以上になるケースもざらにあります。

交通事故で骨折した際に適切な慰謝料を得るためには「通院の頻度」「治療期間」「後遺障害等級の認定の結果」が大切になるので、しっかりと押さえておきましょう。

もし事故で骨折した場合の慰謝料がどれくらいになるのか、ご自身が現状で何を対応しれば良いか知りたい場合は、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。

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