交通事故の示談でよくあるトラブルをケース別に解説

交通事故の示談はトラブルがつきものです。とくに被害者が弁護士を通さずに交渉を行う場合は、示談における手続きを全て自分で行うことになります。

また、法律の専門家ではないごく一般的な加害者と被害者で行われる示談交渉においては、双方の法律知識が乏しいことが原因となり、さまざまなトラブルを発生させます。

この記事では、交通事故の示談でよくあるトラブルを加害者・保険会社・被害者の3つのケースに分けて解説します。

交通事故における示談交渉とは

「示談」とは、事件の当事者が話し合いによって問題を解決する方法です。被害者と加害者は裁判所の手を借りずに、話し合いの上で問題を和解へと導きます。

交通事故における示談とは、被害者と加害者(保険会社)が双方の話し合いの上、損害賠償金の金額や、支払い方法を決めるものです。

この示談は一度合意してしまうと、原則として後から決定を覆すことはできません。あとから「賠償金額に納得がいかない!」などとならないよう、交通事故の示談交渉は細心の注意を払い行うべきです。

加害者とのトラブル

示談の手続きを弁護士に依頼しない場合、被害者は加害者と直接やり取りを行うことになります。

加害者と被害者が法律の知識に乏しい場合は、双方の話がまとまらず一向に示談がまとまらないといったトラブルが発生します。

示談が泥沼化しないためにも加害者とのよくあるトラブルを確認しましょう。

事故現場で口約束での示談をしてしまった

「車を運転していたら後ろから追突された」「歩行中に車にぶつけられた」このような場合、示談交渉は事故の直後から始まります。

示談交渉を行う場合、相手の身元を確認した上で連絡先を交換し、後の話し合い経て、双方の合意の上「示談書」を作成することがもっとも間違いのない示談の方法です。

しかし加害者の中には「事故を公にしたくない」「その場で解決してしまいたい」といった理由から、事故現場で示談交渉を持ちかけてくる場合があります。

交通事故の当事者双方が成人の場合、たとえ口約束だけの示談でも、法的には有効となります。また、メモ書き程度の念書でも、双方の合意とサインがあれば示談が成立したと認められてしまいます。このような示談でも、一度成立してしまえば覆すことは非常に難しくなります。

事故現場では身体に異常がないと思っていても、交通事故による身体の異常はあとから症状として現れるケースが珍しくありません。口約束や念書での示談は絶対にやめましょう。

加害者が任意保険に加入していなかった

交通事故に遭った場合、多くのケースは加害者側の保険会社と示談交渉をすすめて賠償を請求します。しかし、加害者側が任意保険に加入していなかった(無保険であった)場合は、相手方と直接対応する必要がでてきます。

加害者側が任意保険未加入の場合は「自賠責保険」からの支払いとなります。自賠責保険は、被害者に対する最低限の保険です。また、自賠責保険には弁護士の示談代行サービスがついていないため、相手方と直接交渉する必要があります。

このような場合、「相手方が示談に応じない」などのトラブルが考えられます。「無視して逃げ切る」「示談金が払えない」といった理由から、音信不通となるケースもあります。

加害者側が示談に応じようとせず、かつ損害賠償を請求したい場合には法的手段を行使しましょう。法的手段の行使にうつりたい場合は、弁護士に相談するようにしましょう。

相手が飲酒運転をしていた

交通事故の被害者になることは、精神的・身体的に与えるストレスは甚大なものです。その上、加害者が飲酒運転をしていたことを知ったら、被害者としては慰謝料を多く請求したいと思うことは当然のことです。

交通事故の慰謝料の金額は、裁判においては裁判所が交通事故に関する一切の事情を考慮した上で判断します。

加害者が飲酒運転をして事故を起こした場合、その「一切の事情」として考慮してもらえます。

飲酒運転の事実により「○○万円増額される」という明確な基準はありませんが、飲酒運転という大変悪質な交通違反で有ることを理由として、飲酒運転ではなかった場合に比べ慰謝料額が増額される傾向にあります。

保険会社とのトラブル

加害者が任意保険に加入していた場合は、被害者は加害者側の保険会社と示談交渉を行うことになります。

保険会社は被害者に支払う賠償額が増えれば増えるほど、会社としての利益が減少します。保険会社は営利企業ですので、少しでも賠償額を減らしたいという思惑から、本来の賠償額よりも低額の示談金を提示したり、治療費の打ち切りを迫ってくる場合があります。

適切な賠償金を受け取れるように、保険会社とのトラブルを確認しましょう。

過失割合に納得がいかない

自分では過失がないと考えていたにもかかわらず、保険会社から1対9や2対8の過失割合を主張される場合があります。

過失割合が10対0以外の場合は、被害者も加害者に賠償金を支払うことになり、被害者が得られる損害賠償金は低くなってしまいます。

交通事故の過失割合は、事故当事者の双方の加入している保険会社が話し合いにより決定することが一般的です。

過失割合に被害者が納得しない場合は、無理やり押し付けられることはありませんが、双方が納得しない場合延々と過失割合のやり取りが続いてしまいます。

納得のいかない過失割合を減らすためには、変更を裏付ける状況証拠を集める必要があります。このような証拠集めは交通事故の知識が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。

治療費の打ち切りを通告された

保険会社は、基本的に被害者へ治療費を払い続けることを避けたいと考えます。なぜなら保険会社は被害者に賠償金を支払い続けることで利益を減らすことになるためです。

そのため、被害者が交通事故による怪我の治療やリハビリをしていたところ、保険会社から治療費の打ち切りを通告される場合があります。

保険会社から治療費の打ち切りを通告されるタイミングは、怪我の治療期間が目安となっています。例えば、むちうちの場合は4ヶ月を目安として治療の終了を催促されます。

しかし、治療の必要性を決めるのは保険会社ではなく医師です。身体の不調を感じているにもかかわらず保険会社から治療費の打ち切りを通告された場合は、担当医に相談してください。担当医が治療の必要を判断するのであれば、治療を継続すると良いでしょう。客観的な証拠に基づいた上で、治療の必要性を証明できる場合は、治療の終了時点までに生じた治療費や慰謝料の請求は可能です。

保険会社の提示する示談金額が安すぎて納得できない

保険会社同士の示談、もしくは被害者が保険会社と直接交渉する場合の損害賠償金は低くなる傾向にあります。その理由は、保険会社同士であれば「市場における示談金の高騰を防ぎたいという2社間の暗黙のルールで示談が成立する」、直接交渉の場合は「被害者に法律の知識が乏しいため、保険会社の巧みな交渉術に力負けしてしまい、低い金額で示談してしまうケースが多い」ことが原因です。

保険会社は基本的に低額な「任意保険基準」を用いた賠償金を計算します。そのため、被害者が本来受け取れる賠償金より大きく減額されているケースがあります。

さらに後遺障害認定を受けられていないような場合は、後遺障害に関する慰謝料なども含まれないことから、さらに受け取れる金額が低くなります。

このような場合は、弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士に依頼することで、「裁判所基準」の賠償金が受け取れるだけではなく、示談交渉における様々なアドバイスが受けることができるからです。

被害者自らが注意したいトラブル

交通事故の示談においては、加害者や保険会社のみではなく自から気をつけておきたいポイントがいくつかあります。「うっかり知らなかった」では済まされませんので、必ず抑えておきましょう。

示談の時効時期を知らなかった

損害賠償金の請求に時効が存在することを知らない方は少なくありません。

原則として、損害賠償金の請求は「3年」の期間が設けられています。この期間を過ぎてしまうと、損害賠償金の請求ができなくなりますので注意してください。時効は損害賠償・慰謝料の金額が決まった後ではなく、基本的に交通事故が発生した時点でスタートします。

一般的な交通事故の場合は、半年から1年で問題が解決することが多いとされますが、中には相手との交渉がうまく行かず示談交渉が長引く場合があります。そのような場合は、時効時期を気にする必要がでてきます。示談交渉が長引き、時効が成立することに不安を感じ始めた場合は、時効を中断することができます。時効を中断させる方法は「裁判上で請求する」「書面を通して加害者と中断の同意を得る」の2種類です。

悪質な加害者の中には示談に応じるように見せかけて、だらだらと示談を長引かせ時効まで持ち込む方もいます。時効の知識をつけて適切な損害賠償請求を行えるようにしましょう。

保険会社の言うとおりに示談してしまった

法律の知識に乏しい被害者の場合、加害者側の保険会社に言われるがままの示談を受け入れてしまう場合があります。その結果、「納得のできない示談に応じてしまった」・「治療費の打ち切りをしてしまった」といったトラブルに見舞われます。

保険会社はあくまで営利目的で活動しています。そのため、あなたに支払う損害賠償金はできるだけ低く抑えようとしてきます。

相手は交通事故の知識が豊富なプロですので、法律の知識に乏しい素人の方では太刀打ちできないのが一般的です。そのため示談にあたっては法律の知識をあらかじめみにつけておく事が重要です。自分では保険会社との交渉が難しいと思った場合は、弁護士への依頼も視野に入れましょう。

人身事故にもかかわらず物損事故になっていた

交通事故に遭い、被害者が人身事故と思っていたら物損事故として処理されていた場合があります。このような場合、受け取れる賠償金が減ってしまうので注意が必要です。

物損事故とは、車などの「物」が損傷しただけの交通事故です。「人が死傷していない」ことが前提です。

人身事故とは人が死傷(怪我や死亡)した交通事故です。車が壊れている場合でも、同時に人が死傷していたら人身事故になります。

事故の加害者は、物損事故の場合刑事罰を受けません。また、支払う賠償金の金額も非常に安くすることができるのです。また、怪我もしていないと処理されるため、治療費も受け取れなくなります。

そのため、物損事故になっていた場合は人身事故に必ず切り替えるようにしてください。

まとめ

交通事故の被害に遭うと精神的・身体的に過大なストレスを受けます。そのような中で被害者自らが示談の手続きをするのは大きな負担です。

交通事故に強い弁護士に依頼すれば、加害者や保険会社とのやり取りをすべて任せることが可能になります。交通事故後の示談でお悩みの方は、一度弁護士に相談すると良いでしょう。

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