スタントマンが交通事故を再現するスケアードストレートで、安全を考えるきっかけに

スタントマンが交通事故を再現するスケアードストレートで、安全を考えるきっかけに

新年度が始まって3か月近くが経ち、学生や新社会人もすっかり新しい環境に慣れたのではないでしょうか。しかし、慣れた頃がもっとも気が緩みがちになり、失敗の危険は高まります。忘れ物や寝坊、遅刻、ケガなど色々なものが考えられますが、交通事故もそんなリスクの一つです。

道路は自動車を運転する人だけのものではありません。歩行者や自転車運転者、車椅子の方、ベビーカーを利用している方など様々な人の利用があります。交通ルールをみんなで守ることが道路全体の安全につながります。特に、学生は免許を持っていない人が多く、交通ルールを知らないことがあります。そのため、各自治体は学生にも交通マナーを高めてもらおうと、様々な対策を打っています。

ニュースでたまに見る衝突事故の再現は何のためのもの?

夏休みが近づき、徐々に日中の気温が暑くなってきました。外出の機会も増えるこの時期、自転車運転に関する交通マナーの啓蒙講習が各地で開かれています。通学に自転車を使う生徒が多い中学校や高校では、自転車の事故防止のための講習が行われます。

とはいえ、もちろん、実際に事故を目の前で起こすわけではありません。事故の「実演」を行うのです。交通安全スタントといい、訓練を積んだスタントマンが自動車と自転車にそれぞれ乗り込み、事故を再現するのです。

現実の怖さを体感させるこの手法はスケアードストレートと呼ばれています。生徒たちに交通事故の凄まじさを見てもらうことで、恐怖を与え、危険行為を学ばせるという狙いがあります。

スケアードストレートって何?

「スケアード・ストレート(Scared Straight)」とは英語で「脅かされて硬直した」という意味です。70年代にアメリカで制作された同名のドキュメンタリー映像から取られています。

この映像作品は実際の刑務所で行われた、非行少年たちの3時間の更正プログラムを記録したものです。少年たちは囚人たちの前に立たされ、耳元で脅されたり、叱られたりします。あまりの凄みに泣き出す子も珍しくありません。一連の体験によって、少年たちは刑務所は怖いところで、犯罪を犯すことは恐ろしいことだということを思い知らされるのです。このプログラムは彼らを2度と非行に走らせないようする狙いで行われました。

恐怖体験をさせる手法はアメリカでは教育・更正の現場で度々採用されています。1960年代には無謀な運転を防止する目的で、実験的に交通事故現場の映像を教習所などで見せていました。また、暴力行為を減少させる目的で凶弾に倒れた若者の映像を見せたり、銃の恐ろしさを知ってもらうために遺体安置所のツアーを開いたりなど、枚挙に暇がありません。

論理よりもまずは感情に訴える

本当は「非行は悪いことだからしてはいけないこと」なのであり、「交通ルールはみんなの安全とスムーズな移動のために守るもの」と教えるべきところです。しかし、子供にとって、そういった論理は後付けに聞こえるものです。

そこで、「悪いことをしなければ怖い刑務所に行かなくても済む」とか、「交通ルールを守れば激しく自動車と衝突しなくて済む」と教えるのです。悪いことの代償に不愉快な気持ちを与えるということは罰の本質であり、全世界で見られるしつけの一種です。日本では「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる」や「悪いことをすると地獄に堕ちる」などというしつけがありますよね。

ただ怖がらせるだけではダメ、その後の啓蒙が重要

しかし、ただ怖い思いをしただけでは、一時的に萎縮するだけの効果しかないでしょう。まして、なぜそのような思いをさせられたかわからない子供にとっては、不愉快な気持ちにすらなるかもしれません。大切なことは怖がらせることではなく、不適切な行為を止めさせることです。すなわち、正しい交通ルールを守ったり、暴力や非行を止めたりしてもらわなければなりません。

そのために、不可欠なことが恐怖体験後のフォローです。なぜ交通ルールを守らなければならないのか、なぜ暴力を振るってはいけないのかなどを教える必要があります。どうすればこのようなことにならないかを教えてあげることで、恐怖を目の当たりにした人には希望が持てます。

日本では交通事故の再現で採用

日本では、スケアードストレートは交通マナーアップの講習などで採用されています。事故に遭うとどうなるか、どんな衝撃が加わるのかなどを目で見て体感することができます。

スタントマンの方たちが自転車や自動車を用いて、よく起こる事故のシチュエーションを目の前で実演してくれます。スタントを見た生徒や一般観覧者たちが悲鳴を上げるような状況には、以下の様なものがあります。

交差点での出会い頭の自転車と車の衝突

若い学生が自転車で信号無視や斜め横断、信号のない十字路での先入をするのに遭遇して、ハッとした経験はありませんか?往々にしてスピードを出していることが多いため、もしぶつかっていたらと思うとヒヤリとさせられます。ノーブレーキで車とぶつかると自転車は簡単に潰れてしまいます。

このような事故に遭わないように、曲がり角では一時停止や徐行を行い、カーブミラーがあれば必ず確認しましょう。

時速40kmの車と自転車との衝突

事故の再現を見た方には伝わるのですが、時速40kmというのはかなりのスピードです。こんな速さの車にぶつかるのかと考えると、恐ろしい気持ちになることでしょう。住宅街では時速30km未満が普通ですので、このような速さの自動車に出会うことはありません。しかし、一般道路であればこの速度で衝突する可能性はゼロではありません。

このような事故に遭わないように、しっかりと一時停止、左右確認を行って道路を渡りましょう。

トラックによる巻き込み

4輪以上の車両が角を曲がる際、前輪と後輪で描く弧の形が違います。前輪は比較的道路の形に沿った弧の軌跡となりますが、後輪は近道をするかのように、曲がり角の方に寄った軌跡となります。これを内輪差といいます。

この内輪差があるため、交差点の角で信号を待つ際は、曲がり角のギリギリを右左折する車両には気をつけなければいけません。

前輪の位置ばかり見て安心していては、後輪に轢かれてしまうかも知れません。そうなると、後輪の描く弧に巻き込まれ、車体の下に引きずり込まれることとなります。

このような事故に遭わないように、交差点では車道から多少距離を取って立つようにしましょう。

信号のない交差点を暴走していませんか?優先道路を見極めましょう

免許を持っていない学生が、交通ルールを全て把握しているということはなかなかないでしょう。そのため、信号機のない交差点をどのように渡ればいいか、分からない人は多いかもしれません。このような場所では、どちらが優先されるべきなのか、考慮する必要があります。安全のため、優先道路について知っておいて損はないでしょう。

優先道路の標識がある場合

優先道路標識
優先道路の標識があるときは、そちらの道路が優先的に通行できます。交差する場合は、停まって左右を確認してからにしましょう。

中央線が交差点でつながっている場合

一方の道路の中央線が交差点でもつながっている場合は、その道路が優先道路になります。それ以外の道路の通行者は優先道路の通行を妨害してはいけません。

道幅が異なる場合

道幅が2倍以上の差がある場合、幅が広い道路が優先道路となります。優先道路を交差する際は通行の妨害をしてはいけません。

徐行・一時停止の道路標識がある場合

徐行・一時停止の道路標示がある場合は、それに従います。交差道路の通行を妨害しないように渡りましょう。

優先関係が決まっていない場合

道路標識・標示がない場合は、左から来ている車両が優先されます。比較的人通りが少ない十字路に多いです。

交通ルールを守れば、通学がより快適に

交通安全スタントは学生のみなさんが危険な自転車運転や歩行をしないように、交通ルールについて真剣に考えてもらうために行われます。交通ルールを守ることで、道路がより安全で快適な場所になることに繋がります。

思いやり・譲り合いの意識を持つことで、通勤・通学の見方が変わり、もっと楽しくなるでしょう。

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