示談後に後遺障害が発覚した場合どうなる?示談をやり直して損害賠償を請求する方法

示談後に後遺障害が発覚した場合どうなる?示談をやり直して損害賠償を請求する方法
この記事でわかること
示談とは何かがわかる
示談後に後遺障害に対する損害賠償を請求することができる条件がわかる
示談後に後遺障害に対する損害賠償を請求する方法がわかる

交通事故で怪我をした場合、多くの場合は示談によって解決します。しかし、示談後に新たな後遺障害が発覚するケースも珍しくありません。

示談後に後遺障害が発覚した場合でも後遺障害に対する損害賠償を請求することはできるのでしょうか?

この記事では、示談とは何か、示談後に後遺障害が発覚した場合に損害賠償を請求できる条件とその方法について解説しています。

示談とは

示談とは、法律的に「和解契約」と同じ意味とされています。

「和解契約」とは法律関係について争いのある双方の当事者が互いに譲歩し、争いを終結させることを目的とする契約と定められています。すなわち、示談とは当事者が争いについてお互いに譲歩し、これ以上争わない事を約束することです。

法律的な解釈はこのようになりますが、一般的には当事者同士が話し合いにより和解解決することを示談と呼びます。

示談後に損害賠償の請求はできるのか?

示談後に損害賠償の請求は原則できません。その理由は、和解契約の効力があるからです。
和解契約の効力は以下のように民法で定められています。

第六百九十六条 当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。

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要するに、もうこれ以上争わないと約束をしたのだから、和解契約(示談)のやり直しはできないということです。

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示談後に損害賠償請求できる条件

示談のやり直しは和解契約の効力により原則できないという話をしました。では、示談後に後遺障害が発覚した場合は、どうすれば良いのでしょうか。

実は、後遺障害が発覚した場合、条件次第で示談をやり直すことは可能です。

以下のどちらかの条件を満たせば示談のやり直しができます。
条件1

  • 交通事故と後遺障害の因果関係の証明
  • 示談書に権利留保条項の記述がある。

条件2

  • 交通事故と後遺障害の因果関係の証明
  • 最高裁判例の要件の充足

以下、「交通事故と後遺障害の因果関係」、「権利留保条項」、「最高裁判例の要件」について解説します。

交通事故と後遺障害の因果関係の証明 | 医師の診断書

まずは、示談後に発覚した後遺障害が交通事故によるものである証明をする必要があります。なぜなら、そもそも発覚した後遺障害が交通事故によるものでなければ、加害者側に損害賠償請求が出来ないからです。

では交通事故と後遺障害の因果関係を証明するには何が重要になるのでしょうか。

実は、医師の診断書が重要になります。交通事故から時間がたっているときは、後遺障害が交通事故以外の原因という可能性も大きくなるのでなかなか判断が難しくなります。

そのため、因果関係の判断には医師の診断書が最も重視されます。もし、後遺障害が疑われるときは、事故の状況やその後の自分の怪我の状態を詳しく医師に伝え、後遺障害にあたるかを検討してもらいましょう。

そして、何ヵ所か病院を回り、最も信頼できる医師に診断をしてもらうのが良いです。

示談書に権利留保条項の記述がある

示談書に以下のような権利留保条項を記述していれば、示談後に発生した後遺障害の賠償請求を行うことに問題はありません。

「示談成立日後に、被害者に後遺障害が認められた場合、この後遺障害に対する治療費、休業補償、逸失利益、慰謝料などについて、加害者は被害者に支払うものとする」
「示談成立後に後遺障害が確認できたときには、別途協議をする」

もし示談書に上記のような記載をしていない場合は、次の示談では必ず記載するようにしましょう。

最高裁判例の要件を満たしている

もし、上記のような権利留保条項を示談書にあらかじめ記入していなければ、示談後に後遺障害が発生してしまった被害者は救済されないのでしょうか。

最高裁の判例では、示談書に権利留保条項を記入していなくても、示談をやり直しが認められたケースがあります。

最高裁の判例

少し難解になってしまいますが、最高裁がどのような判決を下したのか見てみたいと思います。

以下に引用する、昭和43年3月15日の最高裁の判決はとても重要なものです。

「…全損害を正確に把握しがたい状況のもとにおいて、早急に少額の賠償金をもって満足する旨の示談がなされた場合においては、示談によって被害者が放棄した損害賠償請求権は示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであって、その当時予想できなかった不測の再手術や後遺障害がその後発生した場合、その損害についてまで賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない…」

とても簡単に言ってしまうと、示談後に後遺障害が発生した場合は、損害賠償請求権を否定することはできない、ということになります。

最高裁判例の要件

それでは、この判例のポイントがどこにあるのか見てみましょう。
・すべての損害を正確に把握できないまま、早急に示談が行われた
・少額の賠償金
・後遺障害が示談のときには予測できなかった
以上の要件を満たせば、示談後に発生した後遺障害についての損害賠償請求が可能となります。

また、示談成立後に、この示談が錯誤によって無効と主張する方法もあります。
その要件は以下の通りです。
・交通事故による症状がこれ以上出ないと考え示談したという被害者側・加害者側双方の理解
・後遺障害が発生しないと思ったことについて重大な過失がないこと
・錯誤が重要なものであること
いずれの要件を満たしているかの証明には、高いレベルの法的知識や実務経験が必要になるため、交通事故を専門とする弁護士に相談するのが良いです。

示談後に後遺障害が発生した場合に弁護士へ依頼するメリット

示談後に後遺障害が発生した場合に弁護士へ依頼するメリットは2つです。
1. 交通事故と後遺障害の因果関係が証明されやすくなる
2. 最高裁判例の要件の充足が証明されやすくなる
交通事故から時間がたって発覚した後遺障害は、事故との因果関係を証明することが難しいです。

交通事故に強い弁護士に依頼すると、今まで経験した事例や、法律の知識などから交通事故と後遺障害の因果関係が証明されやすくなる診断書作りのアドバイスなどがもらえます。

また、示談書に権利留保条項をあらかじめ記入していなければ、最高裁判例の要件の充足が証明される必要があります。最高裁判例の要件の充足を証明するには、高いレベルの法的知識や実務経験が必要になります。

そのため、「交通事故と後遺障害との因果関係」「最高裁判例の要件の充足」の証明には弁護士に相談するのが良いでしょう。

まとめ

示談後に後遺障害が発覚した場合は、条件次第で示談をやり直すことができます。しかし、示談をやり直すための条件を満たすには高いレベルの法的知識や実務経験が必要になる場合が多くなっています。

まずは交通事故に強い弁護士に相談されることをお勧めします。

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