交通事故の被害者相談は行政書士、司法書士ではなく弁護士が適任な理由

交通事故の被害者相談は行政書士、司法書士ではなく弁護士が適任な理由

交通事故の被害者は保険会社とは直接交渉せずに専門家に示談代行を依頼して解決するほうがメリットが大きいというのは定説です。

しかし初めて交通事故の被害を受けた人にとっては「保険会社との示談交渉」や「慰謝料請求」をどの士業の専門家に相談すればいいか分からないという声もよく聞かれます。

確かに交通事故の専門家と名乗るのは弁護士だけでなく、行政書士、司法書士、中には一般企業もあるため分かりにくいのは確かです。示談交渉手続きを始める前に気をつけたいのが適切な専門家選びです。

では、人身事故の示談交渉で適任な専門家は誰でしょうか?それはすばり弁護士です。

なぜ、行政書士や司法書士ではダメなのでしょうか?その理由について解説します。

交通事故で被害者になった。相談すべき相手は誰?

交通事故で被害者になってしまい「これから示談をどうしよう…」という時にほとんどの人がネットから情報を得て解決方法を探すと思います。そこで「加害者が任意保険に加入している場合は保険会社との交渉が必要」、「保険会社対策としては専門家に依頼するのが良い」という情報にたどり着くことでしょう。

しかし、ネット上に交通事故の専門家と称する士業事務所の中には、「行政書士」、「司法書士」、「弁護士」と3つの専門家が存在することに戸惑います。被害者の大半が、「事故」、「保険」、「法律」などに詳しくない人がほとんどですから専門家選びで悩むことになります。

「行政書士」、「司法書士」そして「弁護士」の、それぞれの役割や業務の範囲について知らない人も多いと思いますので交通事故において、それぞれの士業事務所が対応できる業務について解説します。

交通事故で行政書士は何をしてくれるのか?

行政書士で交通事故の専門家を名乗る事務所は少なくありません。そして、行政書士が交通事故の対応業務で謳っているものの中には以下のようなものがあります。

これらを見た被害者は、行政書士は事故の本格的な示談サポートをおこなってくれると勘違いするケースも少なくありません。

  • 交通事故の示談交渉の各種アドバイス
  • 保険会社に対しての損害賠償請求書などの作成
  • 後遺障害認定等級の異議申立書の作成
  • 紛争処理センターへの和解斡旋の申込み
  • 示談交渉などは提携している弁護士を紹介する

行政書士の業務範囲を知る

行政書士の業務規程というものを見ると、そこにはこう書かれています。「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成、官公署提出手続を代わって行い、書類作成相談」。つまり、行政書士の本来の業務は「書類作成」です。

交通事故に関しては、依頼人からの相談を受けて「示談書の作成」、「後遺症の異議申立書類の作成」などについての対応はできますが、該当書類作成以外の示談交渉に関するアドバイスや、保険会社や加害者との交渉は非弁行為(弁護士法違反)となるため対応できません。

保険会社との交渉全般とそれに関するアドバイスはおこなってはいけないのです。

交通事故で行政書士に相談するデメリット

行政書士事務所の中には、あたかも交通事故の専門家として「保険会社との対応はお任せください」、「有利な解決を実現します」など総合的な被害者サポートを謳うような非弁行為(弁護士法違反)ぎりぎりのグレーゾーンでビジネスをする事務所があります。また中には完全ブラックで業務をおこなう事務所も少なくありません。

行政書士が示談の窓口になった場合、保険会社に提出する書類作成はできても示談交渉自体はできません。いざ示談交渉が必要になったときに行政書士は提携する弁護士に依頼することになります。そのため、行政書士への各種費用(書類作成、コンサル料など)、弁護士費用と2重の支払いが発生することになります。

費用面もそうですが交渉手続きにも時間がかかるため依頼者にはデメリットばかりということになります。

交通事故で司法書士は何をしてくれるのか?

行政書士ほど多くはありませんが、司法書士の中にもごくまれに交通事故の専門家を名乗る事務所があります。そこには以下のような業務に対応できるとしています。一見すると弁護士と変わらないサポート内容になっています。

司法書士と言えば、登記手続き、成年後見などが主な業務です。交通事故を扱う司法書士がなぜ少ないかというとそれは営業上のメリットがあまり無いからです。そのポイントとなるのが司法書士が取り扱える賠償金の総額の問題です。

  • 保険会社との示談交渉サポート
  • 賠償額の増額
  • 弁護士費用特約の利用(司法書士にも該当する)
  • 訴訟(裁判)のサポート
  • 提携している弁護士を紹介

司法書士の業務範囲を知る

司法書士は町の法律家とよく言われますが実はその業務範囲は限定的です。司法書士の業務規程は、「主な業務は、登記・供託手続の代理、裁判所・検察庁・法務局、提出書類作成、審査請求」です。

主な業務が「登記書類の作成」、「法務局への登記手続き申請」など登記書類の作成から申請までです。また、法改正により140万円以内の事案なら債務整理や交通事故などについても取り扱うことはできるようになりましたが、140万円の金額を超えると非弁行為となります。この総額140万円以内というのが司法書士に相談するかどうかの分かれ目です。

交通事故で司法書士に相談するデメリット

人身事故で怪我や後遺症が残っている場合には、事故の専門家が事件に介入することで示談金が2倍、3倍に増額できるのはよくある話しです。その場合、損害賠償額が軽く140万円を超えるケースが多くなるため司法書士の業務範囲から離れます。結局、引き継ぐのは弁護士になりますので2重の費用がかかることがあります。

それならば最初から弁護士に相談していればもっと早く適切に解決できたということになります。

交通事故は弁護士に相談するのが基本

弁護士にはその点、業務制限、金額制限というものはありません。紛争トラブルやその示談交渉代理を任せる適任者はつまり弁護士ということになります。

しかし、多くの被害者が弁護士は「敷居が高い」、「行政書士や司法書士よりも費用が高そう」、また「裁判(訴訟)しか対応してくれない」という先入観を持たれるようです。

しかし、実際は違います。弁護士は今や法律サービスとして依頼者重視のサービスを提供しています。また、費用についても行政書士や司法書士のように2重にかかることもありません。(司法書士の費用と比べても決して高くありません)
また、弁護士が扱う事案の大半は裁判まで行かずに示談で解決することがほとんどです。(裁判は時間も費用もかかるため弁護士が示談を薦めるケースがよくあります)

弁護士法について

ここであらためて弁護士法について触れておきたいと思います。

弁護士法の72条という項目に以下のような記述があります。このように非弁行為をおこなうと2年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処されます。

弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

[引用元]非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止 第七十二条

行政書士、司法書士の中には、交通事故事件で業務範囲を超えた明らかに非弁行為をおこなう事務所があります。

そのような、グレーゾーンな法律業務や示談代行をおこなう事務所に相談するのは依頼者にとってもリスクがあることを覚えておく必要があります。

弁護士に相談する時の注意点

では、交通事故の問題は弁護士なら誰でもいいのかというとそうではありません。弁護士の業務は幅広いため得意分野や専門分野というものがあります。例えば、遺産相続に詳しい弁護士が交通事故にも精通している訳ではありません。

ですので、交通事故の示談代行の経験や実績が豊富な弁護士を選ぶのが第一です。また、交通事故を扱っている事務所の中には「加害者が任意保険未加入の場合には対応しない」、「物損だけには対応しない」などの法律事務所もありますので念のため確認は必要です。

しかし、人身事故で相手方の保険会社と揉めている場合で示談書にサインする前ならいつでも相談にのってくれます。

行政書士、司法書士ではなく交通事故の被害者相談は弁護士を選びましょう

これまで説明してきたように、交通事故の被害者相談は行政書士、司法書士よりも交通事故に強い弁護士が適任です。

弁護士は交通事故の被害者請求に求められる、事務手続き、保険会社との示談交渉、訴訟まですべての業務に対応することができます。交通事故に強い弁護士に依頼すれば大幅な慰謝料の増額が期待できますので、相談されることをお勧めします。

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