交通事故の逸失利益の計算方法について解説【計算機付き】

この記事でわかること

  • 逸失利益とは何かがわかる
  • 逸失利益の計算方法がわかる
  • 逸失利益の具体例がわかる

このような方にオススメの記事ですよ!

  • 逸失利益の概算を計算したい
  • 保険会社から提示された逸失利益が妥当な金額か確認したい
  • 逸失利益に関わる基礎収入や労働能力喪失率、労働喪失期間などの意味を知りたい

あなたがもし交通事故の被害に遭った場合、加害者に対して損害賠償を請求することができます。保険会社に請求できる損害には、精神的損害と財産的損害があります。

財産的損害とは、「積極損害」と呼ばれるケガの治療費や入院費などの費用、「消極利益」と呼ばれる逸失利益の2つに分類されます。

逸失利益という言葉は、相手方の保険会社と示談交渉する際に使用されますが、理解が不十分であると適正な補償が受けられなくなります。

この記事では、交通事故による逸失利益の基礎知識をかみ砕いて理解した上で、具体的な計算方法を解説します。逸失利益が計算できる計算機も掲載していますので逸失利益を計算してみましょう。

交通事故の逸失利益の基礎知識や計算方法について確認していきましょう!

逸失利益とは

後遺症逸失利益は、被害者が交通事故による後遺障害がなければ将来的に得られたであろう利益を指します。逸失利益には「後遺症逸失利益」と「死亡逸失利益」の2種類があります。

後遺症逸失利益とは、交通事故による後遺障害のために失われることとなった将来の収入です。死亡逸失利益は、交通事故により被害者が死亡した場合に、もし生きていたら将来的に得られるはずだった利益のことを指します。後遺症逸失利益の説明もお願いします。

なお逸失利益と休業損害は同じであると勘違いしている方もいますが、この2つは全く異なります。休業損害は、ケガをしてから症状固定とされるまで仕事ができなくなり減った収入のことです。逸失利益も仕事ができなくなり減った収入ですが、症状固定とされた後または被害者が死んでしまった後の収入のことを意味します。

逸失利益を計算する前におさえておきたい基礎知識

逸失利益の計算にあたっては、一般の人が普段使わない交通事故の専門用語が多く使われます。しかし一度理解さえしてしまえば計算自体はとても簡単ですので、基礎知識を一つずつ確認しましょう。

逸失利益の計算式

逸失利益の計算式は後遺症逸失利益と死亡逸失利益で異なるため、混同しないようにしてください。

【後遺症逸失利益の計算式】
・基礎収入×労働能力喪失率×労働喪失期間に相応するライプニッツ係数
【死亡逸失利益の計算式】
・基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に相応するライプニッツ係数

基礎収入とは

基礎収入は、被害者の交通事故当時の収入を基準として決まります。これは定職についている会社員などに適用されます。また、学生や専業主婦といった収入が一定ではないケースがあります。

そのような場合、例外的に厚生労働省による賃金構造基本統計調査に基づいて算出されることもあります。これは「賃金センサス」ともいい、年齢・性別・学歴等から平均賃金を算出する基礎データです。

職業別の基礎収入は、以下のようにして算出します。

  • 会社員などの給料所得者
    事故当時の前年の賞与込みの年収を基準とします
  • 自営業者
    事故当時の前年の確定申告額を基準とします。
  • 専業主婦・主夫(家事従事者)
    女性の平均賃金で考えます。その場合、「全産業、全学歴、全年齢平均」を取ります。つまり全女性の平均となります。
  • 兼業主婦(パートタイマー)
    パートにおける収入額と、女性の平均賃金を比較し高い方の金額で考えます。
  • 無職
    ポイントは労働が可能かどうかで、働くことが可能であれば賃金センサスを基準に決定されます。
  • 学生や幼児
    賃金センサスにおける男女別全年齢平均賃金の額を基に決めます。

労働能力喪失率とは

労働能力喪失率とは、後遺障害が残ったためにどの程度労働力が失われたかを数値化したものです。これは、自賠責保険の後遺障害別等級表に表示されている労働能力喪失率を基準に決定されます。

労働能力喪失率表
障害等級 労働能力喪失率
第1級 100/100
第2級 100/100
第3級 100/100
第4級 92/100
第5級 79/100
第6級 67/100
第7級 56/100
第8級 45/100
第9級 35/100
第10級 27/100
第11級 20/100
第12級 14/100
第13級 9/100
第14級 5/100

労働喪失期間とは

症状固定となったときから一般的に労働が可能とされる67歳までの期間のことを労働喪失期間といいます。症状固定とされるのは、後遺障害診断書の書かれている日付と一致するケースが多く、(67歳−症状固定とされたときの年令)=労働喪失期間となります。

なお、被害者が18歳未満で仕事に就いていなかった場合においては、就労することができるまでの期間を控除して計算する必要があります。

ライプニッツ係数とは

逸失利益は、将来得られるはずであった収入金額をもらうというものです。本来なら長い年月かけてもらう予定だったお金が、保険会社よりまとめてもらえます。しかし、まとまって支払われたお金を貯金しておけば利息が付くのですが、この利息部分は本来もらえないはずのお金なので圧縮された金額が支払われるのが公平です。

この圧縮した支払い金額を計算する際の圧縮率のことをライプニッツ係数と言います。

【ライプニッツ係数表】

(1)18歳未満の者に適用する表
年令 幼児・児童・生徒・学生・右欄以外
の働く意思と能力を有する者
有職者
就労可能年数 係数
(2020/03/31以前の事故)
係数
(2020/04/01以降の事故)
就労可能年数 係数
(2020/03/31以前の事故)
係数
(2020/04/01以降の事故)
0 49 7.549 14.980 67 19.239 28.733
1 49 7.927 15.429 66 19.201 28.595
2 49 8.323 15.892 65 19.161 28.453
3 49 8.739 16.369 64 19.119 28.306
4 49 9.176 16.860 63 19.075 28.156
5 49 9.635 17.365 62 19.029 28.000
6 49 10.117 17.886 61 18.980 27.840
7 49 10.623 18.423 60 18.929 27.676
8 49 11.154 18.976 59 18.876 27.506
9 49 11.712 19.545 58 18.820 23.331
10 49 12.297 20.131 57 18.761 27.151
11 49 12.912 20.735 56 18.699 26.965
12 49 13.558 21.357 55 18.633 26.774
13 49 14.236 21.998 54 18.565 26.578
14 49 14.947 22.658 53 18.493 26.375
15 49 15.695 23.338 52 18.418 26.166
16 49 16.480 24.038 51 18.339 25.951
17 49 17.304 24.759 50 18.256 25.730
(2)18歳以上の者に適用する表
年令 就労可能年数 係数
(2020/03/31以前の事故)
係数
(2020/04/01以降の事故)
18 49 18.169 25.502
19 48 18.077 25.267
20 47 17.981 25.025
21 46 17.880 24.775
22 45 17.774 24.519
23 44 17.663 24.254
24 43 17.546 23.982
25 42 17.423 23.701
26 41 17.294 23.412
27 40 17.159 23.115
28 39 17.017 22.808
29 38 16.868 22.492
30 37 16.711 22.167
31 36 16.547 21.832
32 35 16.374 21.487
33 34 16.193 21.132
34 33 16.003 20.766
35 32 15.803 20.389
36 31 15.593 20.000
37 30 15.372 19.600
38 29 15.141 19.188
39 28 14.898 18.764
40 27 14.643 18.327
41 26 14.375 17.877
42 25 14.094 17.413
43 24 13.799 16.936
44 23 13.489 16.444
45 22 13.163 15.937
46 21 12.821 15.415
47 20 12.462 14.877
48 19 12.085 14.324
49 18 11.690 13.754
50 17 11.274 13.166
51 16 10.838 12.561
52 15 10.380 11.938
53 14 9.899 11.296
54 14 9.899 11.296
55 14 9.899 11.296
56 13 9.394 10.635
57 13 9.394 10.635
58 12 8.863 9.954
59 12 8.863 9.954
60 12 8.863 9.954
61 11 8.306 9.253
62 11 8.306 9.253
63 10 7.722 8.530
64 10 7.722 8.530
65 10 7.722 8.530
66 9 7.108 7.786
67 9 7.108 7.786
68 8 6.463 7.020
69 8 6.463 7.020
70 8 6.463 7.020
71 7 5.786 6.230
72 7 5.786 6.230
73 7 5.786 6.230
74 6 5.076 5.417
75 6 5.076 5.417
76 6 5.076 5.417
77 5 4.329 4.580
78 5 4.329 4.580
79 5 4.329 4.580
80 5 4.329 4.580
81 4 3.546 3.717
82 4 3.546 3.717
83 4 3.546 3.717
84 4 3.546 3.717
85 3 2.723 2.829
86 3 2.723 2.829
87 3 2.723 2.829
88 3 2.723 2.829
89 3 2.723 2.829
90 3 2.723 2.829
91 2 1.859 1.913
92 2 1.859 1.913
93 2 1.859 1.913
94 2 1.859 1.913
95 2 1.859 1.913
96 2 1.859 1.913
97 2 1.859 1.913
98 2 1.859 1.913
99 2 1.859 1.913
100 2 1.859 1.913
101~ 1 0.952 0.971

生活費控除率とは

交通事故により被害者が死亡すると、生きていれば必要となった生活費はかからなくなります。そこで、公平の観点から被害者が死亡した後にかかるはずであった生活費を控除します。任意保険では保険会社によって異なりますが、以下のような数値がひとつの目安となります。

  • 被害者が家計を支えていた場合
    扶養している家族が1人であれば40%
    扶養している家族が2人以上であれば30%
  • 被害者が家計を扶養している家族がいなかった場合
    被害者が女性なら30~40%
    被害者が男性なら50%

就労可能年数とは

労働能力喪失期間は、交通事故の被害を受けた時から67歳になるまでの期間です。そのため、67歳から交通事故で死亡した時の年齢を差し引くと就労可能年数が算出できます。

なお被害者が18歳未満で仕事に就いていなかった場合は、就労することが可能な年齢である18歳になるまでの期間を差し引いて算出しなくてはなりません。

交通事故で後遺障害が残った場合の逸失利益を計算する

2020/04/01に改正された基準を用いて計算します。
賃金センサスは2019年までしか発表されていないため、これを用います。

【40歳会社員(年収400万円)が交通事故の被害者になり、後遺障害の等級が9級に認定されたケース】
400万円(基礎年収)×35%(労働能力喪失率)×18.327(労働喪失期間に相応するライプニッツ係数)=2565万7800円

【12歳の女子が交通事故の被害者になり、後遺障害等級6級に認定されたケース】
500万6900円(2019年男女全年齢の賃金センサス)×67%(労働能力喪失率)×21.357(12歳の児童のライプニッツ係数)= 7164万4683円

【35歳主婦が交通事故の被害者になり、むち打ち症で後遺障害の等級が12級13号に認定された場ケース】
むち打ち症で後遺障害の等級が12級13号の場合、労働能力喪失期間は10年とされています。388万円(2019年女性全年齢の賃金センサス)×9%(労働能力喪失率)×8.530 (労働能力喪失期間10年に対するライプニッツ係数)= 297万8676円

交通事故で死亡した場合の逸失利益を計算する

【40歳で結婚していない会社員(年収400万円)が交通事故で死亡したケース】
養っている家族がいない男性なので、生活費控除率は50%とします。
・400万×(1-0.5)×18.327 (67歳までの27年に対するライプニッツ係数)=3665万4000円

【35歳主婦が交通事故で死亡したケース】
被害者は家計を支えていない女性なので、生活費控除率は30%です。
388万円(2019年女性全年齢の賃金センサス)×(1-0.3)×20.389 (67歳までの32年に対するライプニッツ係数)= 5537万6524円

【12歳の女子が交通事故で死亡したケース】
12歳の女子は家計を支えていないため、生活費控除率は30%とします。
500万6900円(2019年男女全年齢の賃金センサス)×(1-0.3)× 21.357 (12歳の児童のライプニッツ係数)= 7485万2654円

複雑な計算式を使わずに交通事故の逸失利益がわかる計算機です。まずは計算してみませんか!

【計算機】逸失利益を計算する

実際に逸失利益を計算してみましょう。
この計算機では、逸失利益の概算を計算することができますので被害者の方は是非ご活用ください。

また、逸失利益は加害者(保険会社)が支払いますが、慰謝料とともに適正な金額が提示されないことがありますので弁護士に相談することをオススメします。

*半角で入力してください。
雇用形態
被害者の生死
後遺障害等級
症状固定時の年齢
けがの症状
扶養者の人数
死亡時の年齢
事故発生日
年収 万円
前職の年収 万円
被害者の性別
逸失利益は{{issitu_rieki | addComma}}万円です。

【記入時の注意点】
年収は賞与・手当を含みます。
※計算結果は大まかな目安となります。当計算機の計算方法は一例ですので、実際の賠償金とは異なることがあります。正確な賠償金額を知りたい場合は弁護士に相談しましょう。

まとめ

逸失利益の計算は、交通事故の被害者が満足のいく補償を受けるためにはとくに重要となります。保険会社から提示された逸失利益の金額を無条件で受け入れるのでなく、ぜひ自分でも計算してみることをおすすめします。

また、自分では逸失利益の計算が難しいと思った際は弁護士への相談も視野に入れてください。弁護士に依頼することで、面倒な逸失利益の計算や保険会社との交渉を全て任せることができ、ご自身の負担を軽減することが可能になります。

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