酒気帯び運転は罰金30万円!高額化する罰金を支払える?
2007年に改正された道路交通法で、飲酒運転や酒気帯び運転の罰則が強化されたのは周知の事実です。また、都市部では痴漢行為の罰金も最高50万円(迷惑防止条例違反の場合。
しかもコレ、累犯だと最高額は100万円になる)にアップしたり、最近では自転車の交通違反に関しても厳しくなってきました。
まぁ、法律を犯さなければ罰則がいくら厳しくなっても関係ない話ですが、たまたま魔が差して軽いつもりで酒を飲んだ後で車を運転したら、運悪く検問に引っ掛かって酒気帯び運転で捕まっちゃったという事も決してないとは言えません。
そんな事態になった場合、50万円なんて罰金を即払えるでしょうか?
罰金を徴収するのは検察庁 支払いは待ったなしの一括払い
あまり知られていませんが、刑事罰の罰金を徴収しているのは警察でも裁判所でもなく検察庁です。検察は警察の捕まえてきた被疑者を起訴するかしないかを判断するほか、刑事罰の執行も担当していますので、罰金を徴収するのは検察になります。
飲酒運転の場合、事故を起こして大事にならない限り、普通は略式命令で罰金刑が確定するわけです。酒気帯び運転だと、罰金の最高額は50万円ですが、初犯だったらよほど反抗的にな態度をとらない限り、請求される金額は20~30万円程度でしょう。
但し罰金の支払いは“一括払い”が原則で、支払期限もキッチリ守らなければなりません。
検察庁に電話して拝み倒せば、数日くらい支払期限を延ばしてくれる事もあるそうですが、2万円の分割10回払いなんて甘い条件は絶対に認めてくれないのです(だって、「罰」なんだから楽な償い方は許されない)。
罰金を払えなければ“労役”という名の強制労働をさせられる!
prison guard tower / Rennett Stowe
罰金が払えない場合、検察庁から罰金の支払いを促す督促状が2回届くと言われています。
その督促状にも書いてありますし、事件が略式命令ではなく、ホントの裁判になっちゃった場合は裁判の判決で読み上げられるのですが、罰金の支払いができない場合、「××××円を1日に換算した期間、アナタを労役上に留置します」という事になるわけです。
これが「労役」と言われる刑罰になります。
裁判官が決めた1日当たりの“日給”で罰金金額を割り、罰金が完納される日数、労役場にブチ込まれて、強制労働をさせられるわけです。労役場という施設は専用の場所があるわけではなく、拘置所や刑務所といった刑事施設の中に併設されています。
そこで強制労働をさせられるわけですから、気分はもう懲役囚でしょう。
なお労役による1日辺りの罰金返済額は裁判官が決定しますが、余程高額な罰金を言い渡されていない限り
“1日5000円”が相場です。ですから酒気帯び運転の初犯で、罰金が20万円ならば、200000÷5000=40 めでたく40日間の労役になります。
Let's労役! リアル労役は結構楽かもしれない
労役でムショに行ってきた!(彩図社)
20万円の罰金返済のために1ヶ月以上、刑務所にブチ込まれるのは嫌だと思っている方も多いとは思いますが、労役場は刑務所だけではなく拘置所にあるケースもあります。
また労役場は完全に切り離されたブロックになっていますので、
留置期間中にリアル囚人と接触する事もありません。
そして問題の“強制労働”の内容ですが、別にムチを持った警備員が監視する中、ちょ~厳しい肉体労働をさせられるという事もありません。
大抵は封筒貼りのような、室内でできる軽作業です。また労役場はニッポンの施設ですので、土日祝日は作業は休みで、しかもその休日分も労役日として計算されます。
1ヶ月以上仕事を休んだらクビになって失業してしまうといった事情の人を除き、
何十万円もの罰金を即金で支払うより、いっそ労役をして身体で返した方が楽かもしれません。
事実統計をみると刑事罰として罰金刑が下される数は減少しているのにも関わらず、労役場に留置されるの数は2000年代後半から急増しています。
その原因は冒頭に述べたように、罰金の金額が高額化していることと、長引く不況によって支払い能力がない人が増えたためです。
労役場に入るときには、全裸の身体検査があるようですが、それさえ我慢できれば、“擬似刑務所体験”が出来る労役場も、一度くらい体験しておいても悪くはないでしょう。(笑)
まぁ、ホントは罰金刑を食らうようなルール違反をしない事が一番なんですけど…