加害者が携帯電話を見ながら運転をしていた「ながらスマホ」が原因で交通事故を起こされた場合には、加害者によそ見を認めさせることが大切です。加害者がスマホの使用を認めないことがありますので、事故直前のノーブレーキや蛇行運転などの不可解な車の動きを覚えておくことが大切です。
交通事故の示談交渉では、事故の過失割合に加害者(保険会社)が了承するかが重要なポイントになります。「ながらスマホの事故被害」で不安な方は弁護士に相談することをお薦めします。
交通事故の相手が「ながらスマホ」をしていた場合
スマートフォンはPCとほぼ同等にサイト閲覧ができ、メールやメッセージの送受信、様々なゲームアプリ、SNSなど娯楽から連絡手段までたくさんの機能を果たしています。
そのため、画面に熱中するあまり、歩きスマホなどと言われるように歩行中や自転車に乗りながらスマホを操作する人が続出しています。
中でも危ないのが、スマホを操作しながらの自動車運転です。
スマホをしながらの事故が増加中
スマホが普及した現在では、運転中のスマホ操作が原因の交通事故が増えています。スマホ操作と同時に違う行動をすることを俗に「ながらスマホ」と呼びますが、このように車の運転をしつつ「ながらスマホ」をする危険運転は社会問題となっています。
例えば、直線道路で車間距離も充分に取ってあると思っても、前方を見ていないととっさのときにブレーキを踏む判断はできないため、運転中のスマホ操作は大変危険です。
アプリ操作やメール作成中の画像目的使用が事故原因に
事故の原因となるスマートフォン・携帯電話の操作は4種類に分かれます。電話を手に持って行う通話、画面注視、ハンズフリー通話、そしてその他の操作です。
この中で多い事故原因は画面注視とその他の操作です。2017年には画面注視による事故件数が、「その他の操作」を抜き、トップとなりました。2017年の事故件数は平成23年と比べると2.3倍にまで増えています。
年 | 事故件数 |
---|---|
平成23年 | 409 |
平成24年 | 575 |
平成25年 | 643 |
平成26年 | 690 |
平成27年 | 846 |
平成28年 | 927 |
【参考】:やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用|警察庁
「ながらスマホ」で事故を起こすと自動車運転処罰法違反に
そもそも運転中にスマートフォンを見ること自体が道路交通法違反です。同法では、自動車又は原動機付自転車を運転中に「自動車等に取り付けられ若しくは持ち込まれた画像表示用装置」に表示された画像を注視してはいけないことを規定しています。
スマホ操作をしながらの運転によって事故を起こせば、刑法においては多くの場合は自動車運転処罰法違反となります。過去の判例でもほとんどで過失運転致死傷や過失運転致傷罪が言い渡されています。
事故に遭ったときはその場に留まって相手の連絡先を確認、そして警察を呼びましょう
ながらスマホのドライバーが起こした事故に巻き込まれた場合は、相手に過失があるのは間違いありません。急いでいたとしても、連絡先だけ聞いて立ち去るようなことは相手の処分軽減に有利となるため、お勧めできません。
その場で警察を呼んで実況見分をしてもらわないと、客観的な事故状況が記録されにくくなります。目撃者の確保もしていないため、加害者は事実と違った供述をするおそれがあります。ケガと事故の関連性が疑われる可能性も否定できません。
事故後の流れ
事故が起こったら必ず警察に連絡します。通常は加害者に通報の義務がありますが、「動揺している」「警察を呼びたくない 」などの心理状態が考えられます。そのため、加害者が警察を呼ばないときには被害者のあなたが即座に警察を呼びましょう。以下が事故処理の流れです。
- ケガの状態を確認する
- 警察に連絡する
- 相手とその保険会社の連絡先を訊く
- 目撃者がいれば、連絡先を訊く
- 警察から事情聴取を受ける
- 病院に行く
- 相手の保険会社との示談交渉
加害者が「ながらスマホ」ながらスマホを認めない場合は相手の過失を主張しましょう
これまで述べてきたように、 ながらスマホが原因の事故は運転手側に過失があります。もしも相手がスマートフォンを見ていたことを認めたのであれば、過失割合で揉めることはあまりないでしょう。
しかし、相手がスマートフォンを見ていたことを認めない場合は、こちらが相手の運転に不可解な部分があったことを主張しなくてはいけません。
というのも、前方を見ていないためにぶつかる直前にブレーキがかかっていないことや蛇行運転などのおかしな動きが必ずあるはずだからです。相手が「ながらスマホ」をしていたことを供述して、それが証明されないと、相手の過失は軽くなってしまうでしょう。
ながらスマホが原因の事故に遭ったら弁護士に相談を
交通事故では、相手の過失が多くなると損害賠償額は増額されます。保険会社は、支払う賠償額を少なくしたいために不当に低い見積りを提示してきます。
法律のプロである弁護士に依頼することで妥当な金額の請求ができます。示談交渉に不安があるという方は弁護士に相談してみましょう。