後遺障害等級の認定までの流れがわかる
適切な後遺障害等級が認定されるポイントがわかる
認定結果に納得できなかった時の対処法がわかる
交通事故に遭って後遺症が残ったときに、どの等級が認定されるのか気になります。ただ、必ずしも症状に合った等級が認定されるとは限りません。
ご自身の症状に合う等級を認定してもらうには、認定のポイント押さえる必要があります。
この記事では、症状ごとの等級や後遺障害等級の認定の流れとポイントについて書いています。
後遺障害等級の認定基準
後遺障害等級はどのような基準でどこが認定しているのでしょうか。また、どのような流れで申請するのでしょうか。
後遺障害等級を認定している機関
後遺障害等級の認定は「損害保険料率算出機構」という機関が提出された書類・資料を元に行っています。
第3者機関なので中立な立場で調査を行い、等級の認定を行っています。そのため、適切な後遺障害等級を認定されるためには提出する書類・資料が極めて重要です。
後遺障害等級の申請方法
後遺障害等級の申請を行う方法は以下の2つです。
1. 事前認定
2. 被害者請求
事前認定は、加害者が加入する任意保険会社に手続きを一任する申請方法です。後遺診断書のみご自身で用意する必要があります。
被害者請求は、申請に必要な書類・資料を自ら用意して、自賠責保険会社へ提出する申請方法です。必要書類・資料は次の見出しにまとめています。
それぞれの申請方法のメリットとデメリットは以下の表の通りです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
事前認定 | ・書類・資料集め、申請手続きなどの手間がかからない | ・等級認定に充分な書類・資料が用意されない可能性がある ・自賠責限度額の先取りが出来ない |
被害者請求 | ・書類・資料を万全にして申請することが出来る ・自賠責限度額の先取りが可能 |
・書類・資料集め、申請手続きなどの手間がかかる ・医療上表の入手は自費になる |
加害者側の任意保険会社は、被害者の後遺障害等級が認められると損害賠償を払わないといけなくなるため、等級認定に充分な書類・資料を集めてくれない事があります。
そのため、被害者請求をすることをおススメします。
申請に必要な書類・資料
後遺障害等級の申請の際に必要な書類はどのようなものなのでしょうか。被害者請求を行う場合に必要な書類・資料、入手先は以下の表の通りです。
必要書類 | 入手先 |
---|---|
交通事故証明書 | 自動車安全センター |
事故発生状況報告書 | 自賠責保険会社 |
自賠責保険金請求 | 自賠責保険会社 |
休業損害証明書(勤め先を休んだ場合などに必要) | 勤務先の会社 |
印鑑証明書 | 市区町村 |
診断書(事故発生~症状固定まで) | 通院先の病院 |
診断報酬明細 | 任意保険会社または健康保険組合 |
後遺障害診断書 | 通院先の病院 |
レントゲン写真、MRI写真等(症状により必要な写真は異なる) | 通院先の病院 |
後遺障害等級と後遺障害の表
後遺障害の等級は賠償額に大きく影響を及ぼすものなので、被害者の障害がどの等級に位置するのかをしっかり知っておく事が重要です。
後遺障害別等級表・労働能力喪失率
等級 | 介護を要する後遺障害 | 保険金額 | 労働能力喪失率 |
第1級 |
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4,000万円 | 100/100 |
第2級 |
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3,000万円 | 100/100 |
備考 | 各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする。 |
別表第二(第二条関係)
等級 | 後遺障害 | 保険金額 | 労働能力喪失率 |
第1級 |
|
3,000万円 | 100/100 |
第2級 |
|
2,590万円 | 100/100 |
第3級 |
|
2,219万円 | 100/100 |
第4級 |
|
1,899万円 | 92/100 |
第5級 |
|
1,574万円 | 79/100 |
第6級 |
|
1,296万円 | 67/100 |
第7級 |
|
1,051万円 | 56/100 |
第8級 |
|
819万円 | 45/100 |
第9級 |
|
616万円 | 35/100 |
第10級 |
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461万円 | 27/100 |
第11級 |
|
331万円 | 20/100 |
第12級 |
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224万円 | 14/100 |
第13級 |
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139万円 | 9/100 |
第14級 |
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75万円 | 5/100 |
備考 |
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注意事項 | |||
(注1)後遺障害が2つ以上ある時は、重い方の後遺障害の等級による。しかし、下記に掲げる場合においては等級を次の通り繰り上げる。
(注2)既に後遺障害のある者が更に同一部位について後遺障害の程度を加重したときは、加重後の等級に応じる保険金額から既にあった後遺障害の等級に応じる保険金額を控除した金額を保険金額とする。 |
適切な後遺障害を認定されるためのポイント
何も知らないまま後遺障害等級の申請をしてしまい、適切な後遺障害を認定されない方も少なくありません。
等級を認定されるためのポイントは以下の4つです。
1. 事故後はすぐに病院で治療を受け始める
2. 適切な頻度で通院を行う
3. 後遺障害診断書を医師にしっかり書いてもらう
4. 後遺障害等級の申請方法は被害者請求を選ぶ
事故後はすぐに病院で治療を受け始める
後遺障害等級を認定されるために重要なことは、怪我と交通事故との因果関係を示すことです。
もし、初診を受けたのが交通事故から2~3週間後になってしまうと、その間に何か怪我するようなことがあったのかもしれないと判断されてしまい「交通事故との因果関係なし」とされることもあります。
ですので、事故当日または、翌日には初診を受けるようにしましょう。
適切な頻度で通院を行う
後遺障害の等級認定では、治療経過も重要な要素になります。忙しくてなかなか通院ができなかったとすると、あまり通院しなくてもよい程度の症状と判断されてしまいます。
そのため、自分の症状に応じた適切な頻度で適切な治療を受けて、その経過を医師に正確に記載してもらうことが大切です。
後遺障害診断書を医師にしっかり書いてもらう
後遺障害診断書は後遺障害の等級を判断するのに最も重要な資料になります。そのため、自分の症状を細かいところまで全て医師に書いてもらう必要があります。
後遺障害診断書の内容で押さえるべきポイントは、「自分の症状が全て記載されているか」「後遺症に至ったプロセスが書かれているか」です。
医師に後遺障害診断書を書いてもらう際に、きちんとポイントを押さえて書いてもらうよう依頼しましょう。
後遺障害等級の申請方法は被害者請求を選ぶ
申請方法は「事前認定」と「被害者請求」の2つがあります。事前認定では、加害者側の保険会社が手続きを行うので後遺障害等級を認定されるのに不利になります。
その理由は、加害者側の保険会社は少しでも損害賠償金を押さえたいので、後遺障害等級をわざわざ認定されるために書類・資料を万全な状態に準備することがないからです。
そのため、被害者請求を行い、自分で書類・資料を集め、万全の状態で提出しましょう。
後遺障害等級が認定されなかった時は「異議申し立て」をおこなう
「異議申し立て」とは
「異議申し立て」とは「事前認定」や「被害者請求」を行った際に、結果に納得できない場合に、再度等級認定を求めることです。
「異議申し立て」の際にも「事前認定」か「被害者請求」が選べますが、事前認定の場合だと、認定結果が変わらない可能性が高いため、「被害者請求」を選びましょう。
「異議申し立て」の流れ
異議申し立ての被害者請求の流れは以下の通りです。
1. 新資料作成(新しい検査結果の画像、医師の診断書や意見書等)
2. 「異議申立書」の作成
3. 「異議申立書」と「新資料」を自賠責保険会社に提出する
「異議申し立て」の方向性や、どんな新資料を作成したらよいかなどは「異議申し立て」の経験がないと難しいです。ですので、「異議申し立て」をする際は弁護士に依頼するのがおすすめです。
まとめ
後遺障害等級の認定は書類・資料集めや、申請手続きなど一般の方にとっては簡単なことではありません。せっかく書類・資料集めをして申請をしたのに認定されないこともよくあります。
後遺障害等級認定は、弁護士に依頼をして適正な診断書を作成して手続き申請をおこないましょう。まずは弁護士に相談してご自身の被害状況において等級取得が可能かを確認してみると良いでしょう。