ニュースで報道される交通事故は、主に幹線道路や高速道路で起こる大事故が目立ちますが、生活区域内の狭い道路で起こる事故も問題となっています。
通行中のお年寄りや子供が遊んでいるところを車が撥ねたり、走行中の自転車を車が左折時に巻き込むなどの事故が全国で起きています。
これらの生活道路での事故を防ぐ「ゾーン30」という取り組みが各自治体で本格的に整備されつつあります。交通事故件数が全国トップクラスの埼玉県でも県内各所で「ゾーン30」の整備を積極的に推進しています。
ゾーン30規制マップという便利な地図をホームページ上でも公開して事故防止を促しています。しかし、ゾーン30は一般のドライバーにはまだまだ認知不足ではないでしょうか。
そこで、今回はゾーン30を整備することでどのような効果があるかをまとめました。
※写真は埼玉県深谷市岡里地区のゾーン30
ゾーン30とは
ゾーン30とは、ある場所に指定区域を設けて、そのエリアでは自動車や二輪車は30キロの制限速度を守りましょうというものです。
ある区間とは、生活道路と呼ばれる住宅地、商店街、通学路、病院周辺などの狭い道路のことで、お年寄りや子供、自転車が多く通行する場所です。
ゾーン30の区間には、わかりやすい標識を設置したり、道路に明示するなどしてドライバーにスピード厳守を促しています。
また、この区間では歩道の幅を広げたり、中央車線を抹消するなどして、歩行者が事故に遭いにくいような道路整備もおこなわれています。
そして、警察庁では平成28年度までに全国で約3千箇所のゾーン30を整備することを目標にしています。
ゾーン30の効果とは
ゾーン30では、生活道路を改善することで、これまで被害を受けていた多く人たちの事故を防げるとしています。具体的には以下の様な人たちの事故被害が少くなります。
- 歩行中の高齢者
- 通学中の子供
- 仕事中の小型バイク運転者
- 自転車で買い物中の主婦etc
また、これまで地元のドライバーが抜け道として使っていた道路もゾーン30を整備することで、抜け道としての利用価値がなくなり結果的に交通量が少なくなります。そのため事故の抑制効果が生まれます。
なぜ自治体はゾーン30を強化しているのか
警察庁がゾーン30を強化する理由は、交通事故が10年前と比べて大きく減少する中で車道幅員5.5m未満の生活道路での事故の減少幅が少ないためです。
- 車道幅員5.5m以上 723,324件(平成16年)→ 411,784件(平成26年)48.1%減
- 車道幅員5.5m未満 208,288件(平成16年)→ 137,921件(平成26年)33.8%減
【参考】:「ゾーン30」の概要 警察庁交通局
生活道路での事故はなかなか減らないという問題
車道幅員5.5m未満の道路では、自転車、歩行者、原付バイクなどの事故が起こりやすいのが特徴です。特に最近問題となっている高齢者の歩行中の事故、自転車を運転する人の接触事故などが増加しているため、生活道路での事故はなかなか減らないという現象が起きているのです。
また、自動車事故ではスピードと事故の被害(致死率)は比例します。30キロを超えると死傷者を出す事故につながりやすいという結果が出ています。
生活道路でのスピード超過は事故の大きな要因なのです。
ゾーン30の問題点
交通事故の被害者を減らす目的としては「ゾーン30」は効果的な取組みなのは間違いありません。
しかし、まだまだ「ゾーン30」というものがドライバーに浸透しているかは疑問です。筆者のまわりに聞いても知らないという人が大半でした。ゾーン30の看板が明示されていても、それを知らないドライバーは30キロの制限速度を守らないケースが考えられます。
「ゾーン30」というものをもっと広くドライバーに知って貰うための政府の取り組みが必要ではないでしょうか。
また、自治体にとってはゾーン30の整備は大きなコストです。ゾーン30は国・県の支出金と一般財源から賄われます。財政難が叫ばれる地方自治体にとってはこの整備コストをどこから捻出するかも重要な課題となっています。
まとめ
まだまだ、ドライバーには認知不足の感がある「ゾーン30」ですが、埼玉県では、県内にある学校、幼稚園、保育園、図書館、公園、大型商業施設、住宅地などの周辺にゾーン30の設置を推進しています。お近くのゾーン30設置区域を見たい場合には埼玉県警のゾーン30規制マップが便利です。
他の都道府県にお住まいの方も地元の県警のホームページを見ればゾーン30の設置区域が分かりますのでチェックしてみましょう。
また、ゾーン30はせっかくの国をあげた取組みですのでさらに認知度アップを目指して欲しいものですね。
さて、事故被害は取り返しがつかないものですが、被害を受けたら補償をどうやって受けるか考えなくてはなりません。交通事故では被害を受けても保険会社と安易に示談してしまう人が少なくないのが現状です。
後遺症、慰謝料、損害賠償など適正な補償を得るためには弁護士への相談が有効です。
もしも、埼玉県民で本人、家族が被害を受けたら埼玉県の交通事故に強い弁護士からアドバイスを受けることでより良い解決が図れることを覚えておきましょう。