交通事故で保険会社が示談代行できる理由

被害者なら知るべき「休業損害」と「休業補償」の違い

交通事故の示談交渉の中で保険会社の対応について不満の声がよく聞かれます。中には保険会社の説明や対応の仕方に納得できないので加害者と直接示談交渉したいという意見もあります。

そもそもなぜ、示談交渉の場に保険会社が出てくるのでしょうか?

保険会社が示談代行できる理由、保険会社とのトラブルが起きる理由、それに対抗するためには弁護士に相談するのが適切である理由について解説します。

示談の交渉相手がいつの間にか保険会社になるのはなぜ?

示談というものは基本的には当事者同士で話し合いにより解決するものです。そこで、話し合いが進展しない場合には、交渉代理人である第三者(弁護士など)を介して示談交渉をおこないます。

しかし、交通事故の示談交渉の場では、加害者はいつの間にか消えて代わりに保険会社の担当者が登場します。「なぜ示談代行者として保険会社がでてくるのか?」と疑問がわく方も多いと思いますが、これは任意保険そのものの仕組みにあります。

任意保険(自家用自動車総合保険)とは

車の持ち主の約7割は事故に備えて任意保険(自家用自動車総合保険)に加入しますが、この保険には、「対人賠償保険」、「自損事故傷害保険」、「無保険車傷害保険」、「対物賠償保険」、「搭乗者傷害保険」の5つが自動的にセットされています。

任意保険は、運転中に人身事故を起こしたり、対物事故を起こしたり、同乗者にケガをさせてしまったときなどには保険金が下りますので保険商品としては優れています。

交通事故のリスクを考えればすべてのドライバーが加入すべき保険だと言えますが、しかし、事故の被害者にとってはやっかいな保険でもあるのです。

任意保険には示談代行付が含まれている

この任意保険には事故を起こした際に保険会社が示談代行をするという契約が含まれています。そのため、示談交渉に保険会社の担当者が出てくる訳です。

また、被害者と保険会社との交渉で話しがまとまらないケースがありますが、その際には保険会社が代理人として契約している弁護士が交渉の場に付くことが認められています。

つまり、加害者側には交渉のプロである「保険会社の担当者」とその後ろには「代理人の弁護士」が控えています。そのため、被害者が自力で粘り強く示談交渉しても有利な解決はなかなか望めないという現実がここにあります。

余談ですが、この保険が販売された当初は、保険会社が示談交渉をおこなうのは「非弁行為」ではないかという意見が弁護士の間からも聞かれました。非弁行為とは弁護士でないものが示談交渉などをするのは、弁護士法に反するというものです。しかし、日本弁護士連合会は損害保険協会と協議をおこないこの商品の販売を認めたという経緯があります。

保険会社の示談交渉の考え方

保険会社は一般企業(営利企業)であることを忘れてはいけません。企業活動ですから、売上(加入者)を増やして、支払い(損害賠償金)を減らしたいのは当然です。そのため、被害者との交渉マニュアル、賠償基準をもうけて、それに沿って担当者は被害者との交渉にのぞみます。

担当者はそのルールに沿って手早く示談交渉を進めて賠償額を少なくするのが成果となりますので、被害者に対してシビアな交渉をするのは言うまでもありません。

保険会社とのトラブルが起きる理由

そもそも損害賠償金というのは交渉相手である保険会社が支払うものです。保険会社は少ない損賠賠償で示談したいと考え、一方で被害者はできるだけ多くの示談金を勝ち取りたいと考えます。利害の不一致がありますので揉めるケースが多いのは当然です。

しかも、損害賠償請求で重要な「過失割合の提示」、「傷害の損害算定」などは保険会社がおこないますので、自社に都合の良い方法で解決できる有利な立場にいます。

それもあって、被害者の事情やケガの状況などは考慮せずに「治療の打ち切りを通告する」、「症状固定を促す」、「収入証明を認めない」、「後遺障害を認めない」など、厳しい対応を求めてくるのです。

それに対して被害者の多くが不満を持ちながらも交渉で負けて渋々示談するケースが数多く見られます。

加害者とは直接示談交渉はできない

被害者の中には、保険会社のマニュアルどおりの対応や理不尽な対応に不満を抱えて加害者と直接示談交渉ができないかと考える人も少なくありません。実際に加害者に連絡しようと試みるケースもありますが、それは適切な対応とは言えません。

保険会社の担当者との交渉を拒むことはできても、加害者を無理やり交渉の場に付かせようとしても、加害者はそれを拒否する権利があるからです。前述のとおり任意保険には示談代行が付いているため、加害者は示談交渉のテーブルに付く必要はないのです。

また、加害者に示談交渉を直接持ちかけたとしても、そこには必ず保険会社が介入してくることになりますので話しは先に進まなくなります。もし加害者と交渉しても「お互いが感情的になる」、「水掛け論になる」など結局、示談はまとまらない可能性が高くなります。

交渉自体は保険会社とおこなうほうが断然早くなりますので、加害者のことは一旦忘れて、どのようにして保険会社との交渉を有利にするかを考えるのが適切な対応です。

弁護士に示談を任せるのが対抗できる方法

交通事故の交渉相手は保険会社という示談交渉のプロです。一般の人が自ら交渉しても有利な解決を望むのは困難なことです。また、治療をしながら保険会社と示談交渉するのは精神的にも大きなストレスとなります。

ですので、事故後は早めに弁護士に相談して解決までの道筋や得られるであろう大まかな損害賠償額を算出してもらえば気持ちも楽になります。

「交渉を有利にしたい」「損害賠償額を増額したい」場合には、結局は示談のプロに対してこちらもプロである弁護士に任せるのが保険会社に対抗できる確実な方法なのです。

被害者ご自身が加入する任意保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用は0円で依頼することができますので調べてみましょう。

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