芸能人ともなれば、けが人がいなくても追突や接触事故を起こせばニュースとなります。先日も有名タレントが都内の交差点で3台を巻き込む追突事故を起こしました。「考え事をしていた」という彼の言葉に、情報番組のある司会者は彼を擁護。考え事をしていて「瞬間的に前の車にドンッて接触してしまうことはある」と述べたそうです。
本当にこのように、うわの空でブレーキを踏む足が緩むなどということはよくあることなのでしょうか。そこで、よくある交通事故の原因と安全に運転する方法について調べてみました。まずは交通事故の原因からご紹介します。
事故原因のトップ5
【参考】:統計表一覧 政府統計の総合窓口(平成28年における交通事故の発生状況)
5位 運転操作不適
アクセルとブレーキの踏み間違いはこの運転操作不適に当たります。よくあるのは駐車場で出入庫の際に、アクセルを踏んでしまい建物に突っ込んだり、人を傷つけたりしてしまうこケースです。
車種やMT車・AT車の違いによって、同じ操作で別の動きをすることが稀にあります。新しい車や社用車を使用していると、とっさのときに自分が一番慣れた操作をしてしまいがちです。それによって、駐車場でバックするつもりが前進してしまうという現象も起きているようです。
4位 漫然運転
ぼんやりと運転を行うことを言います。上述のタレントのように、考え事をしながら運転をすることがまさにこの状態です。彼の場合は交差点でのブレーキの不徹底が追突を招きましたが、走行中にぼーっとしているともっとスピードが出ているため、危険です。
3位 動静不注視
相手車両の認知をしてはいるものの、その動きをしっかりと見ていなかったケースです。急な車線変更をする場合や、間に合うと思って直進車が来る前に右折しようとする場合が該当します。
相手が避けてくれる、止まってくれる、端に寄せてくれるだろうとこちらが勝手に予測しても、相手がそうするとは限りません。
向こうが交通ルール違反をしているパターンもありますが、だからといってこちらが避けないでぶつかるのは損です。
相手車両に頼り切るのではなく、危険を察知して臨機応変に対処することが求められます。
2位 脇見運転
スマートホンを操作する、景色に見とれる、物を下に落とし、拾おうとするなどが脇見運転に当たります。比較的若い人に多いと言われています。
長い走行の中で、他のことに気を取られる瞬間はどうしてもあるでしょう。しかし、事故が起こるのは常にほんの一瞬のことです。少しの間なら大丈夫だと高を括らずに、一般道であれば安全なところに停まってから作業をしましょう。
1位 安全不確認
多くの事故原因がこの安全不確認です。一時停止線で止まらないこと、右折・左折の際に対向車や後方の確認をせずに発進してしまうことなどが該当します。
安全確認は自動車のみならず、道路においては歩行者にすら必要な、最も基本的な事故対策です。それを怠ることは危険以外の何物でもなく、他の運転者や自転車運転者、歩行者にも迷惑になります。当然、事故のリスクは高くなります。
なぜ漫然運転が起こるのか
運転には、毎秒脳内での膨大な情報処理が伴います。やがて、それに慣れてくると、脳が機械的に処理を行うようになります。その工程に没頭しているうちはいいのですが、集中力が途切れると、意識は次第に様々な関心事や考え事に向きがちになります。
しかし、長い運転で常に集中していることは難しいことです。漫然とすることを完全に防ぐことは困難かもしれませんが、最小限に留めることならできるでしょう。そこで、できるだけ漫然運転をしないようにするためにできることを以下に挙げます。
運転中に漫然としないようにできる工夫
ぼーっとしているとき、人は周囲からは周りを見ているように思われますが、実際にはしっかりと認識・判断しているわけではありません。そのため、外的な動きに対して即座な反応が行えず、とても危険な状態だと言えます。このような状態に陥らないためにできる4つの工夫をご紹介します。
目を動かし続ける
視点を長く保っていると、考え事が始まったり、視野が狭まったりしがちです。そこで、2秒毎に目を動かしてみましょう。目が疲れそうと思われがちですが、むしろ目という感覚器官は動かし続けられるように作られています。
常にもしものことを想定する
緊張感を保つには、もしもの場合を想定しておくことです。実際、道路上では想定外のことが起こるものです。
「もしも前の車が急停止したら」、「もしも歩行者が信号のないところを横断してきたら」などと想定をし、心構えをしておくことで、多少緊張感と集中力が保てます。
ガムを噛む
ガムを噛むことは顎を動かし、脳を刺激することに繋がります。そのため、眠気予防にもなります。ピーナッツ入りのお菓子(キャラメルやチョコレート)などを噛むことも有効です。口の中でピーナッツを探すことで、気が紛れるそうです。
道を変える
通い慣れた道は見慣れてしまい、つまらないものです。そこで、時間に余裕があるのであれば、別のルートを試してみるのもいいでしょう。退屈してしまうと注意力が鈍ってしまい、運転技術という観点からはよくありません。
安全な運転を心がけるために必要な6つのこと
忙しいと忘れがちな安全運転。しかし、交通事故を防ぐにはやはりこれを遵守することが王道です。基本を守って、便利なカーライフを安全に満喫しましょう。
1.時間に余裕を持って出発する
全ての運転者が時間的に余裕を持っていれば、スピードを出したり、黄色信号で通過したりせずに済むでしょう。それによって安全運転が可能となり、事故の確率も下がることでしょう。時間があれば、前後左右をよく見て運転する余裕も生まれます。反対に時間がないと、スピードを出す必要があり、もしも衝突したときに、より大きなダメージとなる可能性があります。
2.眼鏡やコンタクトレンズの装着を忘れずに
よく見えないということは自動車運転には致命的です。特に夜には様々な物への衝突の危険性が高まります。歩いているときには辛うじて見えると思っていても、自動車に乗ると速度を伴うため、より見えにくくなるものです。
3.周囲に注意する
周囲がどのように動いているかを注意深く見ることは交通事故の回避に大きな助けとなります。後続や隣の車線の車がどこを走っているのか、歩行者がいないか常に注意をすることです。車線を変える際は、死角も確認することが大事です。視野を幅広く使い、周囲の車の動きを確認しておきましょう。
4.車間距離を取る
あなたが安全運転を心がけていても、前の車もそうとは限りません。突然の減速や停止、進路変更をする可能性があります。そういった変化に対応するには、車間距離を取っておくしかありません。
5.運転に集中する
運転中のメール、片手を使った電話での通話、飲食、カーステレオ操作などは危険ですので止めましょう。ゲームなどは以ての外です。注意が散漫のまま運転を行うと、スピードを出しぎたり、車線をはみ出たり、一時停止を無視したりしてしまうおそれもあります。
6.ハンドルは両手で左右対称の箇所を握る
昔、自動車のハンドルには操作をサポートするパワーステアリングがなかったため、回すのには力が必要でした。そのため、力が出しやすいように、10時と2時(10時10分)の位置を持つようにと教わったものでした。今ではこのパワステのお陰で、軽い力でハンドル操作が可能となりました。
しかし、操作が楽になった分、片手だけで運転したり、手を添える程度の持ち方をしたりしている人も居ます。これではとっさのハンドル操作には間に合わないでしょう。物が飛んできたり、対向車が突っ込んでくることはよくあることではありませんが、上述したように常にもしもの場合を想定しておくことが大事です。
操作に力が要らなくなったとは言え、両手でしっかりとハンドルを握るようにしましょう。なお、持ち手の位置には諸説ありますが、今は9時と3時、あるいは8時と4時の位置を握ることが主流なようです。
車を良い状態に保つことも忘れずに
安全運転を心がけていても、自動車が故障してしまっては後続車に追突されるなどの事故が起こりかねません。このような事態を防ぐには、自動車のメンテナンスをしっかり行うことが必要です。ブレーキとタイヤが正常で、燃料・エンジンオイル・ミッションオイル・冷却水・パワステオイルなどの液体が漏れることなく保たれているでしょうか?
エンジンのメンテナンスも重要です。ベルトなどの部品は、エンジンをかけるだけでも摩耗していきます。バッテリーやオイルも劣化します。
これらに気付かないまま走行を続けていると、道の真中で立ち往生したり、事故を起こしたりする原因になりかねません。不具合がないからと言って過信せずに、定期的な点検・整備を心がけ、万全な状態で安全運転をしましょう。