赤ちゃんが交通事故に遭った場合の慰謝料について

赤ちゃんが交通事故に遭った場合の慰謝料について

赤ちゃんが交通事故に遭ったら、まずは警察と消防に連絡をしましょう。赤ちゃんも同乗の大人と同様に加害者に対して通院や入院、後遺症に対して慰謝料を請求することができます。

赤ちゃんは成人よりも身体が柔らかく、チャイルドシートを使用すればむち打ちなども見られないことが度々あります。そのように外傷がない場合は、病院に連れて行っても医師によってはレントゲン検査が受けられないこともあるようです。

大切な赤ちゃんを事故に遭わされて加害者からの慰謝料を増額させたいと思ったら、弁護士に相談することがお勧めです。

赤ちゃんが遭遇する交通事故のパターン

交通事故はいつどんなところでも起こりうるものです。それはあなたが産んだばかりの赤ちゃんと一緒に車に乗ったり、歩いたりしているときでも起こります。ただでさえ神経を削る子育て中に事故に遭ってしまったら、気が気ではないことでしょう。

赤ちゃんが遭遇する交通事故のパターンは主に以下の3通りあります。

  • 赤ちゃんを連れて歩いているとき
  • 赤ちゃんを車に乗せているとき
  • 赤ちゃんを自転車に乗せているとき

交通事故の被害が大きくなるのは車同士に限りません。特に歩くときには気をつける必要があります。実際に、平成29年交通安全白書を見ると、平成28年の状態別死者数は歩行中が1,361人を数え、自動車乗車中の1,338人よりも多くなっています。赤ちゃんを連れて歩いて出かける際は、自動車に充分注意しましょう。

自動車でチャイルドシート不使用の場合は赤ちゃんに大きな被害

自動車同士の事故であっても、被害が大きくなることがあります。それは赤ちゃんがチャイルドシートに座っていなかった場合です。従来のシートベルトでは、乳幼児や児童の小さな体を衝突時でもシートに固定するには限界がありました。そこで現在ではチャイルドシートが道路交通法により、6歳未満の幼児への使用が義務付けられています。

チャイルドシートの使用により、大人は怪我を負ったけれど、赤ちゃんは無傷だったというケースもあります。それはもしもチャイルドシートを使用していなかったら、赤ちゃんは大人以上に被害を負っていたということでもあります。事故の被害を最小限に留めるためにも、6歳未満の乳幼児はチャイルドシートに座らせるようにしましょう。

赤ちゃんが交通事故に遭ったらまずは警察と消防に連絡を

どんな状態で事故に遭ったかによって、被害の大きさは異なります。しかし、共通して言えることは、事故に遭ったら警察に連絡すべきだということです。

加害者と連絡先を交換したからと言って安心したり、パニックになってしまい現場を立ち去ったりしてはいけません。なぜなら、道路交通法によって警察への通報が義務付けられているためです。加害者や目撃者が緊急連絡をする印象があるかもしれませんが、被害者であっても義務は同じです。

なお、赤ちゃんがケガをして救急隊が必要な場合は消防への電話を先にしましょう。消防から警察へは連絡が行くようになっています。

赤ちゃんが交通事故に遭ったら何科を受診すればいい?

消防に連絡している場合は、救急車が来るため自分で病院を選ぶ必要はありません。しかし、軽い事故だと保護者が病院に連れて行く場合もあります。その場合、赤ちゃんは何科で診てもらえばいいのでしょう。小児科でしょうか?

赤ちゃんが交通事故に遭ったら、大人と同様、整形外科かケガをした部位の診療科目を受診します。例えば、頭部であれば脳神経外科、皮膚であれば皮膚科や形成外科というようになります。以下に診療科目を記載します。

ケガをした部位 診療科目
頭部 脳神経外科
形成外科
眼科
耳・鼻 耳鼻咽喉科
口の中 口腔外科・歯科
皮膚表面 形成外科・皮膚科
骨折など 整形外科

赤ちゃんに異常がなければレントゲンを撮らないことも

赤ちゃんが交通事故に遭ったら、親御さんとしてはむちうちなどの外から分からないケガを負っていないか心配でしょう。しかし、病院に連れて行っても、赤ちゃんに異常がなければレントゲンを撮らないことがあります。

レントゲンによる放射線被爆は微量ですが、必要性が低い場合は撮影しないに越したことはありません。また、画像診断を行わないという医師の判断は、検査をしても診断は変わらないだろうという考えに基いていますので、安心してください。もしも帰宅してからも泣きやまない、痛がるなどの異変が続く場合は再度受診をしてみましょう。

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赤ちゃんが交通事故に遭ったときの慰謝料

赤ちゃんが交通事故に遭ったら、成人と同じように加害者に慰謝料を請求することができます。慰謝料は精神的な苦痛に対する損害賠償です。加害者に請求できる慰謝料は以下の通りです。

  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料

通常は、慰謝料の請求は被害者本人が行うものです。しかし、赤ちゃんの場合は現実的にまだ話せないだけでなく、未成年であるため法的手続きができません。そこで代理として、法定代理人である親が示談交渉や慰謝料の請求を行います。

赤ちゃんの交通事故で争点となり得ること

慰謝料の種類は同じでも、大人と赤ちゃんには違いがあります。それは赤ちゃんは意思疎通ができないということです。それがゆえに、入通院の期間が加害者側との間で争点となることがあります。

どういうことかというと、入通院が長いと、両親が無理に子どもの治療期間を引き伸ばしているのではないかと考える加害者がいるということです。治療期間が長い場合は、裁判となったときに期間の妥当性が問題になる可能性があることを覚えておきましょう。

赤ちゃんも交通事故でむち打ちになる?

自動車同士の交通事故で赤ちゃんが後遺症を負うことは比較的稀なケースです。赤ちゃんはチャイルドシートに座っていることに加え、身体も柔らかいため、むち打ちなどになりにくいのです。しかしながら、もしも赤ちゃんがむち打ちとなったら、加害者に慰謝料の請求が可能です。

慰謝料の金額には基準があり、弁護士に頼むことで一番高い基準で慰謝料請求を試みることが可能です。

赤ちゃんが交通事故に遭ったときの慰謝料の基準

慰謝料をはじめとする損害賠償の金額はどのように決められているのでしょうか。これには金額を提示または請求する人が弁護士か保険会社かによって基準が分かれます。慰謝料の基準は以下の3つがあります。

  • 自賠責基準
  • 任意保険会社基準
  • 弁護士基準

赤ちゃんが交通事故に遭い、弁護士基準で賠償金が認められたケース

ここで被害者が赤ちゃんで、加害者に対して損害賠償請求の裁判を起こした実際のケースをご紹介します。それぞれ入院付添費と後遺症慰謝料が認められた判例です。

●赤ちゃんの入院付添費が認められたケース
症状固定時1歳の女児の後遺障害(頭部外傷に伴う精神神経障害、1級3号)につき、入院期間(109日)中の近親者の付添費用として、1日あたり6,500円、合計70万8,500円の入院付添費が認められた(さいたま地判平16.4.23 交民37巻2号540頁)。

●赤ちゃんの近親者固有慰謝料が認められたケース
1歳の男児の後遺障害(頭部外傷、頭蓋陥没骨折、外傷性クモ膜下出血、急性硬膜外血腫の傷害を受け神経障害、12級)につき、本人の傷害・後遺障害慰謝料として400万円のほか、幼児の父母に対し、幼児が生命を害された場合にも比肩すべき、精神的苦痛を受けたと見るのが相当であるとして、各30万円の慰謝料を認めた(神戸地判平8.5.30 事故日平4.8.30 交民29巻3号815頁)。

特別な慰謝料が認められることもあるのが裁判のメリット

赤ちゃんが交通事故に遭い、後遺障害や長期治療を伴う大きなケガを負ったときは、弁護士を雇い民事訴訟を行うことをお勧めします。なぜなら、そうでないと正当な金額の慰謝料を受け取ることができないためです。裁判を行うことで弁護士基準にて損害賠償を請求することができます。

上記で2つの判例をご紹介しましたが、そのうち上の判例は入院慰謝料が認められた例でした。ここで他の慰謝料基準とその金額を比べてみましょう。

入院付添費の比較
自賠責基準
(事故日が2020/03/31以前)
日額4,100円
自賠責基準
(事故日が2020/04/01以前)
日額4,200円
任意保険基準 日額4,100円
弁護士基準 日額6,500円

以上のように、弁護士基準が最高額となります。1日でこれだけ差がありますので、何か月も入院付添が続けば金額に格段の差が生じます。

裁判なら近親者固有慰謝料が認められることも

2つの判例のうち、下の例は近親者固有慰謝料が認められたものです。通常は、近親者固有慰謝料というものは、死亡事故で遺族に認められるものです。

しかし、重大な事故の場合は、遺族にとって死亡事故に匹敵するほど精神的な負担がかかるという考え方もあります。それによって、裁判では死亡事故ではなくても重大事故であれば、家族に慰謝料が認められることがあります。このような慰謝料は民事訴訟だから獲得できるものです。

もしも先方の保険会社と示談交渉を行い、成立していたら、賠償金の各項目に当てはまる金額も低くなり、その合計額も低かったでしょう。

赤ちゃんが交通事故に遭ったら、弁護士に相談を

赤ちゃんが交通事故に遭ったら、弁護士に相談されることをお勧めします。出産を終えたばかりで我が子がケガを負い、大変なときですが、だからこそ正当な慰謝料を加害者に請求しなければならないのです。

被害者である赤ちゃんは加害者を罰することはできません。赤ちゃんの代わりに、親御さんや近親者が弁護士に依頼し、加害者に損害賠償を請求しましょう。

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