遺言代用信託サポート
遺言代用信託とは、信託銀行等に自分の財産を託し、生存中は自分のために財産管理してもらい、死亡後は家族へ財産を引き継ぐ信託です。
例えば、医療・介護費の精算や葬儀費用の支払いなど、亡くなった方の銀行口座から現金を引き出したい場合は、相続手続きを行う必要があります。手続きをしなければ相続人であっても現金を引き出せないため、すぐに支払いが必要な場合は困ります。
そのような場合、遺言代用信託を活用すると、相続の手続きをしなくともすぐに必要な現金を引き出すことができます。また、あらかじめ財産の受取額や時期、相手などを決めておくことでスムーズな財産承継が可能になります。
遺言代用信託の当事者となるのは、委託者(第一受益者)、第二受益者、受託者の3者です。
委託者兼 第一受益者 |
自分の財産の管理・運用を信託銀行等に託したい人 受託者から金銭を受け取る人(本人生存中) |
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受託者 | 委託者から託された財産を管理し、金銭の支払いを行う人 |
第二受益者 | 受託者から金銭を受け取る人(本人死亡後) |
委託者は自身の財産を信託銀行等に託し、受託者は委託者が生存している間は委託者のために財産の管理を行います。第二受益者に委託者の配偶者や子どもを指定しておけば、委託者の死亡後は家族へ財産が引き継がれることになり、死亡後の家族の生活を守ることができます。
遺言代用信託とよく似た名称に「遺言信託」があります。遺言信託とは、遺言書の保管や執行を金融機関に信託するもので、内容は大きく異なります。あくまで遺言であるため、本人が亡くなるまで効力は発生しません。
また、遺言信託は、遺言である以上、本人が生存している間の財産管理を託すことはできません。また、本人の意思で何度でも書き換えが可能です。
一方、遺言代用信託は遺言と同様の機能を持たせたものであり、遺言そのものではありません。信託契約による財産管理の手法であり、遺言信託と違い本人が生存しているうちから財産を引き継ぐ相手や金額、時期、方法などを決めておくことができます。
遺言信託は、上記のとおり書き換えが可能なため、何らかの事情によって承継者が変更された場合、親族間のトラブルに発展する可能性があります。しかし、遺言代用信託であれば、受益者の同意がない限り契約内容の変更ができない旨を信託契約に明記することができます。その場合、勝手に内容が変更されることはありません。
遺言代用信託には、次のようなメリットがあります。
通常の相続では、被相続人が亡くなると本人名義の口座は一時的に凍結されるため、現金を引き出すことができなくなります。現金を引き出すには相続の手続きを行う必要があり、本人が亡くなってから現金を引き出せるようになるまでに時間がかかってしまいます。
しかし、遺言代用信託を利用すると、信託契約が結ばれた時点から信託銀行等による財産管理が行われます。あらかじめ本人が亡くなったあとの財産管理について指定しておくことで、相続の手続きをしなくとも、本人の葬儀費用や残された家族の生活費といった必要なお金をスムーズに引き出すことができます。
遺言代用信託を利用した場合、本人が亡くなったあとに財産を一括で家族に給付することもできますが、年金のように定期的に一定額の給付を行うことも可能です。たとえば、家族が未成年で財産管理が難しい場合、配偶者の年金収入に上乗せする形で給付したい場合などに活用できます。
一方、遺言代用信託で扱える資産は現金のみであり、土地や不動産など現金以外の資産を扱うことはできません。また、多くの信託銀行では元本保証の商品を取り扱っていますが、元本保証の有無は商品によって扱いが異なるため、利用を検討する際は注意しなければなりません。
遺言代用信託の利用をご検討されている方は、相続関係に詳しい弁護士へ相談・依頼することをおすすめします。弁護士へ遺言代用信託を任せることには、次のようなメリットがあります。
弁護士は法律に則って、本人や家族にとって有益な助言をすることができます。たとえば、信託の契約内容をあとから変更したい場合、原則として委託者、受託者、受益者全員の同意が必要となり、容易に変更することはできません。
ただし、契約内容の変更自体は不可能ではないため、あらかじめ契約の中に信託の変更に関する規定を入れておけば、あとからの変更に対応できる仕組みを作れます。弁護士からこのような助言を受けることで、後々のトラブルを回避することにつながるでしょう。
信託契約の内容に関して、契約する前に契約期間や手数料などについて理解を深めておく必要があります。弁護士に相談すれば、遺言や生命保険など、遺言代用信託以外に相続人へ金融資産を承継できる他のリーガルスキームと比較し、どの方法が最適かアドバイスを受けることができます。
ご自身が亡くなられた後に、「誰が財産を承継するのか」、「その承継の仕方」について決めておく必要があります。それによって相続の手続をしなくとも、ご自身が亡くなったときの葬儀費用、残された家族の生活費などをその承継者にスムーズに引き継ぐことができます。
ただ、遺言代用信託は遺言と異なりあくまで契約ですので、いつでも書き直して内容を変更できるというものではありません。遺言よりも慎重に臨まなければいけない点です。
当事務所は遺言代用信託により、適切なサポートをご提供致します。お気軽にご相談ください。